その15.2020.3.22『復興の火』
釜石市郷土資料館 館長 村上 修

 釜石市郷土資料館は、釜石駅構内に隣接しているので、釜石駅を発着する列車がすぐ目の前を通り過ぎていきます。
 鉄道ファンのわたしにとっては、今の仕事場は「鉄」分補強のとてもいい環境となっています。そこで、これから一年間、鉄道にまつわるよもやま話を綴っていこうと思います。
 さて、3月22日(日)、ギリシャから日本に到着した聖火が「復興の火」として、特製のヘッドマークを掲げた三陸鉄道に乗せられて宮古から釜石にやって来ました。
 10時56分、歓迎の大漁旗に迎えられながら4連(36-R3+36-Z1+36-700+36-700)の臨時列車が2番ホームに到着。車両内に灯されていたランタンの火は、係の人により釜石駅前に運ばれて、2時間ほど展示されました。


聖火「復興の火」
 三陸鉄道と言えば、昨年の3月23日、久慈−宮古−釜石−盛を結ぶ日本最長の第三セクター鉄道に生まれ変わり、三陸鉄道リアス線として一貫運行が開始されました。沿線に住む地域の皆さんは、新たな「さんてつ」の門出に熱い声援を送りました。
 しかし、わずか7か月後の10月13日、三陸沿岸を襲った台風19号により、「さんてつ」は各所で土砂災害が発生し運休を余儀なくされました。やっとの思いで全線復旧して運行再開を果たしたのは「復興の火」到着の2日前の3月20日のことでした。しかし、祝賀ムードいっぱいのこの日、発達した低気圧の影響により大荒れの天気となり、強風のため「さんてつ」は運休に追い込まれてしまいました。なんという不運・・・。

 話が脱線してしまいました。さて、その「復興の火」、お披露目の後は「SL銀河」に乗って、13時00分、1番線から大漁旗や手旗に見送られながら花巻に向かって出発しました。このJR釜石線の「SL銀河」については、後日大いに語りたいと思います。
 あいにくの小雨模様にもかかわらず、釜石駅前の広場は「復興の火」を一目見ようとたくさんの人であふれ、新型コロナウイルスの感染を気遣う様子もなく、大いに賑わいました。
 しかし、この二日後、なんと東京五輪2020は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、来年に延期されることが伝えられました・・・。


4連(36-R3+36-Z1+36-700+36-700)の臨時列車


SL銀河