第3次釜石市障がい者福祉計画 ぬくもりふれあいプラン3 後期計画 令和4年3月 釜石市 第1章 計画の基本的な考え方 1 計画策定の趣旨と背景 釜石市では、「障害者基本法」に基づき、障がいのある人の福祉施策を総合的かつ計画的に推進するため、「第1次釜石市障害者福祉計画〜ぬくもりとふれあいのまち釜石障害者プラン〜」(計画期間:平成8年度〜平成17年度。以下「第1次計画」といいます。)、「第2次釜石市障害者福祉計画〜ぬくもりふれあいプラン2〜」(計画期間:平成18年度〜平成27年度。以下「第2次計画」といいます。)を策定し、障がいの有無にかかわらず、すべての市民が互いに人格と個性を尊重しあいながら安心して暮らすことのできる共生社会の実現を目指して障がい者施策に取り組んできました。 平成23年6月に「障害者虐待の防止、障害者の擁護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)」の制定、同年8月には「障害者基本法」の改正があり、障がい者の自立と社会参加に加えて、すべての国民が障がいの有無によって分け隔てられることがなく、相互に人格と個性を尊重しあいながら共生する社会の実現を目的とした改正が行われました。 平成24年4月には、「障害者自立支援法」や「児童福祉法」等の一部が改正され、障がい者(児)の自立した生活を支え、課題の解決や適切なサービス利用をきめ細かく支援するために計画相談支援・障害児相談支援が創設されました。平成25年4月には障害者基本法の改正を踏まえた「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下、「障害者総合支援法」といいます。)」が施行され、難病患者が障がい者の範囲に加わったほか重度訪問介護の対象範囲の拡大や、ケアホームのグループホームへの一元化などが実施されています。 また、平成26年に国連の「障害者の権利に関する条約」が批准されるなど、障がいのある人に関する法制度が大きく変化してきました。 このような障がい者施策の大きな転換を踏まえ、当市では障がいのある人が住み慣れた地域で自立し、「自分らしい暮らし」を実現できるよう、障がいのある人やその家族のニーズを的確に捉え、さらなる障がい者福祉施策の充実を図るため、平成28年4月に「第3次釜石市障がい者福祉計画〜ぬくもりふれあいプラン3〜」(計画期間:平成28年度〜令和7年度。以下「第3次計画」といいます。」)を策定しています。第3次計画は、計画期間の中間年次で見直すこととしており、令和2年度で前期の5年間が経過したことから、国の障害者基本計画の改定や第六次釜石市総合計画の策定、障がい者施策の新たな課題等を踏まえながら、後期計画(以下「本計画」といいます。)を策定するものです。 2 計画の位置付け・他計画との関係 本計画は、障害者基本法第11条第3項の規定に基づく「市町村障害者計画」であり、当市の障がい者施策を総合的、計画的かつ効率的に推進するための指針として、障がい者関連施策の推進方向を示すものです。 また、当市の行財政運営の最高指針である第六次釜石市総合計画の個別部門計画とし、保健福祉の基本目標「あらゆる人の幸せをみんなで考えつくるまち」を目指し、保健・医療・福祉と密接な関わりを持つ他の計画との整合性を図りながら、障がい者福祉領域の具体的な施策を推進するものです。 なお、障害者総合支援法第88条の規定に基づき、令和3年3月に策定した「釜石市障がい福祉計画・釜石市障がい児福祉計画」(以下、「障がい福祉計画」といいます。)は、国の基本指針に即して、障がい福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に関して数値目標、サービス見込量及びサービス見込量確保の方策を定めているもので、本計画の実施計画的な位置付けとなります。 3 計画の期間 第3次計画の期間は、平成28年度から令和7年度までの10年間ですが、本計画は令和3年度から令和7年度までの後期5年間を対象とします。 なお、実施計画的な位置付けとなる障がい福祉計画は、国が定める「障害福祉計画の基本指針」に基づき、3年ごとに見直すものとします。 4 計画の対象 本計画の「障がいのある人」とは、障害者基本法等に基づき、「身体障がい、知的障がい、精神障がいがあるため、あるいは、てんかん、発達障がい、難病による障がい、その他の心身の機能の障がいがあるため、それらの障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限、制約を受ける状態にある人」とします。したがって、各種の障がい者手帳を持つ人だけでなく、合理的な配慮を必要とする人を広く「障がいのある人」ととらえます。 また、「社会的障壁」とは、「障がいのある人にとって日常生活または社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」とします。 5 基本目標の推進状況 第3次計画では、計画の理念を「障がいのある人がいきいきと安心して心地よく暮らせるまちづくり」とし、これを実現するために3つの基本目標を設定して、それぞれの基本目標に向けた取り組みの基本方針を定め、施策の体系的な推進に取り組んできました。 前期計画における3つの基本目標の推進状況は、次のとおりです。 基本目標T「地域で安心して生活できる支援体制づくり」について 障がいのある方が、地域で自立した生活を送るために必要なサービスを調整する「相談支援事業」を市内の2法人へ委託しておりましたが、平成28年7月から1カ所増え、現在は3法人に委託し、各種の相談やサービスの利用調整を行っています。 また、判断能力が十分でない人の権利擁護を推進するため、遠野市、大槌町と共同で「釜石・遠野地域成年後見センター」を令和元年7月に設置しており、成年後見制度について市民への普及啓発や市民後見人を養成するための研修事業等を推進しています。 障がいのある人のニーズの把握と福祉サービス提供の課題については、地域障がい者自立支援協議会において協議を行い、関係機関のネットワーク強化に努めてきました。しかしながら、設置が求められている基幹相談支援センター、地域生活支援拠点等の整備については、両機能とも未整備であることから、早期の設置を目指し、協議を続けていく必要があります。 併せて、施設入所者や精神科病院入院者で、地域移行を希望されている方の意向把握や地域移行を推進していくための体制整備も求められています。 基本目標U「自立し、生きがいを持って生活できる環境づくり」について すべての障がい者が、自ら望む地域で自立した生活を営むためには、ライフステージに対応した一貫性・継続性のある適切な支援が切れ目なく行われることが重要であることから、地域障がい者自立支援協議会において、子ども支援、就労支援、地域づくり、サービス構築についての部会を設置し、課題についての協議や関係機関の連携を進めてきました。 この中で、乳幼児期から青年期までの障がいのある子どもに切れ目ない支援をするためのサポートファイルの作成や高齢になった障がい者のスムーズな介護保険への移行など、障がい者への一貫した支援体制が整えられてきましたが、今後も継続・充実させていくことが求められています。 基本目標V「ともに支え合って生活できる社会づくり」について 平成23年の障害者基本法の改正により、「共生社会の実現」がうたわれています。障がいがあっても、社会の構成員として役割を持ち、主体的にまちづくりに参加することのできる地域共生社会の実現が求められています。 障がいのある人の社会参加を阻害する要因の一つとして、障がいやその特性に対する理解不足があり、法や条例の整備が行われてきました。当市においても、障がい理解を促進する啓発活動は行ってきましたが、障がいがあることで嫌な思いを経験することがまだ多い状況にあり、引き続きあらゆる機会を捉え啓発広報を推進していく必要があります。 また、情報通信技術の進歩は、情報アクセシビリティを向上させてはいるものの、必要な情報が入手しにくい格差も生じています。障がい特性に応じた情報バリアフリーをさらに進めていく必要があります。 第2章 障がい者の状況  1 人口構成 (1) 総人口、総世帯数の推移 当市の総人口は、減少を続けており、国勢調査結果によると、平成17年の42,987人が令和2年には32,078人(△25.4%)となっています。 総世帯数は、核家族化が進むと同時に減少を続け、平成17年の16,994世帯が令和2年には14,725世帯(△13.4%)となっています。 また、1世帯あたりの人員は、平成17年の2.53人が令和2年には2.18人(△13.8%)となり、世帯規模の縮小が進んでいます。 (2) 年齢別人口の推移 当市の総人口の推移を年齢別にみると、年少人口(0歳〜14歳)は、平成17年の5,229人が令和2年には2,949人(△43.6%)と大幅に減少しています。 生産年齢人口(15歳〜64歳)も、平成17年の24,347人が令和2年には16,134人(△33.7%)と大幅に減少しています。 老年人口(65歳以上)は、平成17年の13,411人が令和2年には12,778人(△4.73%)に減少していますが、総人口に占める割合は40.1%に増加しています。 2 障がい者の状況 近年、国内における障がい者人口は年々増加傾向にあります。 当市においては、身体障がい者数は年々減少していますが、これは人口減に比例しているものと考えられます。 知的障がい者及び精神障がい者については、微増傾向にあります。その要因として、現代社会の環境要因による発達障がいの増加や、障がいに対する認識の広がりが言われており、当市においても同様の傾向にあると考えられます。 (1) 身体障がい者(児) 身体障害者手帳所持者数は、障がい区分で「肢体不自由」の占める割合が大きく、令和元年度末で全体の約半数の48.7%となっています。次いで、内部障がい、聴覚・平衡機能障がい、視覚障がい、音声・言語・そしゃく機能障がいの順となります。 等級別では、重度(1級・2級)が過半数を占めています。 (2) 知的障がい者(児) 療育手帳所持者数は、微増傾向にあります。 年齢別に見ると、「18歳未満」が減少し「18歳以上」が増加しています。 (3) 精神障がい者 精神障害者保健福祉手帳所持者数は、増加傾向にあります。 等級別人数は、令和元年度では、2級が41.6%で最も多く、次いで、1級、3級となっており、中度者が過半数を占めています。中度者が多いという傾向は、各年度とも同様となっています。 (4) 難病患者 平成25年4月の障害者総合支援法の改正で、制度の谷間の無い支援を提供する観点から、障がい者の範囲に新たに難病等を含むこととし、130疾病が障がい福祉サービス等の対象となり、令和3年11月1日現在で366疾病に拡大されています。 釜石市のサービス利用者は、難病ほか身体・知的・精神いずれかの手帳を取得しており難病のみで障がいサービスを利用している実績はありません。 第3章 施策の方向 1.基本理念 計画策定の背景をふまえ、第2次計画の基本理念を引き継ぎながら、障がいがあっても誰もが健康で安心して暮らすことができ、市民みんなで支え合いながら、共生社会を実現できるよう、本計画の基本理念は前期計画を継承し、次のとおりとします。 「障がいのある人がいきいきと安心して心地よく暮らせるまちづくり」 2 基本目標 この計画の基本理念の「障がいのある人がいきいきと安心して心地よく暮らせるまちづくり」を実現するため、次の3つの基本目標を設定します。 目標T.地域で安心して生活できる支援体制づくり 障がいのある人が、「自分らしい暮らし」を実現するには、一人ひとりのニーズや思いを出発点として生活を考えていくことが大切です。その人が置かれている状況にあった支援を行っていくために必要な情報提供と相談支援に取り組み、権利擁護の視点に立って積極的に働きかけを行っていきます。 また、保健・医療・福祉分野の連携を強化し、障がいのある人が安心して地域で生活できる体制づくりを推進します。 目標U.自立し、生きがいを持って生活できる環境づくり 障がいのある人が、「自分らしい暮らし」の実現に取り組んでいくためには、社会参加するために必要な学習、体験、療育等の機会の提供とともに、それらの成果を生かすための支援を行っていくことが不可欠です。 生涯を通じた発達支援、就労支援、生活支援を効果的、継続的に行い、保健、医療、福祉、教育、就労等のさまざまな分野の機関が連携することで、障がいの種別や程度にかかわらず一生涯を通じて社会参加できるよう共生の仕組みを構築していきます。 目標V.ともに支え合って生活できる社会づくり 障がいのあるなしにかかわらず、誰もが心地よく暮らせるまちをつくっていくためには、お互いの人権を尊重し、支え合いながらまちづくりを進めていく必要があります。障がいを「特別なもの」と考えるのではなく、共に生きる「地域の一員」としてみんなが理解しあい、支えあって暮らせる地域づくりに向け、障がいの理解啓発・広報の推進、生活環境の整備、情報の提供やコミュニケーションの強化、災害・緊急時の対策の充実などを図ります。 第4章 障がい者福祉の基本計画 目標T 地域で安心して生活できる支援体制づくり 基本方針1 相談支援・権利擁護体制の充実 現状と課題 障がいの有無にかかわらず、すべての人がお互いの人格と個性を尊重し合いながら安心して生活できる社会の実現が求められています。 障がいのある人が、地域で自立した生活を送るためには、個々の生活上の課題やニーズに応じて、適切な障がい福祉サービスを受けられるよう支援が必要です。 また、第6期釜石市障がい福祉計画策定にあたって令和2年度に実施した障がい者を対象にしたアンケート結果(以下「令和2年度アンケート結果」といいます。)によれば、回答があったうち約半数の方が、障がいがあることで差別や嫌な思いをしたことがあると回答しています。障がいがある方の基本的人権を尊重し、さまざまな障壁を取り除きながら、障がい者に対する相談体制等の充実や支援の推進が重要となっています。 施策展開 (1)相談支援体制の充実 @相談支援体制の充実 障がいのある人が、身近な地域で自立した生活を送るため、自らの決定に基づき個々の生活上の課題やニーズに応じて適切な障がい福祉サービスを利用できるよう、一緒に考え、各サービスの調整をする「相談支援事業」の充実を図る必要があり、当市では、市内の3法人へ市町村相談支援事業を委託し、専門の相談員がさまざまな障がいにおける各種の相談やサービスの利用調整を行っています。 今後も、一人ひとりのニーズに応じた相談支援を行い、年々増加する多様な相談に対応するため、相談員のスキルアップや人材確保を進めます。 また、障害者総合支援法では、地域における相談支援の中核的な役割を担う機関として「基幹相談支援センター」の設置が規定されており、厚生労働省の指針は同センターの設置とその機能を有効に活用することが重要であるとしています。 さらに、国が定めた第6期障害福祉計画(令和3年度〜令和5年度)の基本方針では、市町村または障がい保健福祉圏域に1箇所以上の「地域生活支援拠点等の整備と必要な機能の充実」が求められています。 当市においては両機能とも未設置であることから、今後設置に向けた協議を進め、相談支援機能の強化を図ります。 Aケアマネジメントの充実 相談によるニーズ把握から給付決定過程、利用者の意向を踏まえたサービス利用、さらには必要なサービス資源の開発に至るまでの、一人ひとりのニーズに応じた継続的なケアマネジメントが的確にできるよう、相談支援事業者と連携し、地域全体での支援体制の推進を図ります。 また、相談者のエンパワメントを支援するため、障がい者団体や関係機関等と協力して、ピアカウンセラーやピアサポーターの育成に取り組み、ピアカウンセリングの場づくりやピアサポート活動を推進するための施策を推進します。 (2)地域障がい者自立支援協議会の役割強化 @地域障がい者自立支援協議会の役割強化 福祉・保健・医療・教育等の障がい者の支援に携わる関係者が課題を協議し、住み慣れた地域で安心して生活できる支援体制を構築することを目的に、平成18年度に大槌町と共同で「釜石大槌地域障がい者自立支援協議会」(以下、「自立支援協議会」といいます。)が立ち上げられ、平成30年度に策定した「釜石・大槌定住自立圏共生ビジョン」の連携事業にも位置付けられています。 自立支援協議会では、地域に顕在化する課題を的確にとらえ、定期的に協議を重ね、設立から10年以上が経過し、地域への定着が図られています。 今後も、関係機関のネットワーク構築等に関する協議を行いながら連携強化に努め、障がいのある人の地域生活支援体制構築に関するさまざまな事例の協議を行います。 (3)権利擁護に関する支援  @権利擁護に関する相談支援体制の充実と適切な制度利用の推進 障がいのために判断能力が不十分であっても、障がい者がその人の有する能力に応じて自立した生活を営むことができるよう、生活・医療・福祉等、必要な支援やサービスにつなぐなど、相談支援体制の充実と適切な制度利用を援助する仕組みを充実する必要があります。 相談支援専門員らと連携し、判断能力が十分でない人についての情報共有や相談支援の充実を図り、権利擁護支援が必要な人については、日常生活自立支援事業の利用や成年後見制度利用の支援を行います。 成年後見制度については、申立人がいない人に対しては市長申し立ての実施など成年後見利用支援事業を活用し、権利擁護を推進します。 また、令和元年7月に設立した釜石・遠野地域成年後見センターと連携し、市民への相談窓口の周知や制度の内容についての普及啓発及び利用促進、後見活動を担う市民後見人の養成と研修事業の充実、市民後見人等の後方支援を図ります。 A虐待の防止と障がいを理由とする差別の解消の推進 障がい者の尊厳を守り、自立及び社会参加を推進するために虐待を禁止するとともに、予防と早期発見の取組みを国や国民等に求め、養護者に対する支援措置を講じる等のための法律として、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下、「障害者虐待防止法」といいます。)が平成24年10月1日から施行されています。 また、障がいを理由とする差別の解消を推進することにより、すべての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指し、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下、「障害者差別解消法」といいます。)が、平成28年4月1日から施行されています。 これらの法律の普及啓発を図るとともに、不利益な取扱いに対応する相談や、虐待に関する通報、相談に迅速かつ適切に対応できるよう、相談支援体制を強化します。       基本方針2 生活を支援するサービスの充実 現状と課題 障がいのある人が地域で安心して生活できるようにするためには、必要な障がい福祉サービスを身近なところで利用できることが大切です。 当市では、地域で自立した生活を送れるようさまざまな障がい福祉サービスの利用支援を行っていますが、行動障がいや行動援護に対応した障がい専門のヘルパー事業所等、サービス事業者の不足等が課題となっています。障がいのある人が必要なサービスを利用できるようサービス事業者のさらなる参入の促進とより質の高いサービスの提供が求められています。 また、地域で自立した生活を送るための拠点としての住まいの確保も、障がいのある人の地域移行を推進するうえで課題となっています。 施策展開 (1)福祉サービス等の充実 @障がい福祉サービスの適切な提供 障がいの種別や程度にかかわらず、必要とする障がい福祉サービスを身近なところで利用できるよう、サービス事業者と連携し人材や施設の確保に努めるほか、サービス事業者のさらなる参入を促進します。 また、本人主体の障がい福祉サービス提供を基本に、多様なニーズと価値観にも対応できるように、各関係機関と連携しながら、適切な福祉サービスの提供を行っていきます。    A家族介護者等への支援 在宅の重症心身障がい児・者について、指定特定相談支援事業所等における適切な相談支援を行い、障がい福祉サービスの利用につなげることにより、家族介護者が適切にレスパイトできるよう支援します。 また、家族の急病などの緊急時に対応できる体制を構築するため、地域生活支援拠点等の整備と機能の充実を図ります。 さらに、介護をしている家族同士が、交流や学習等の主体的な活動を通じて悩みや経験を分かちあい、支え合いながら、介護の負担を軽減できるよう支援します。 (2)地域生活への移行に向けた支援  @地域生活への移行に向けた支援 地域生活を希望する施設入所者や受入条件が整えば退院可能な精神障がい者の地域生活への移行を推進するため、一人ひとりのニーズに応じた情報提供やサービスの提供調整を担う基幹相談支援センターの設置について、自立支援協議会での検討を進めるとともに、地域生活に必要な社会資源の整備を推進します。 また、精神障がい者とその家族が地域の一員として安心して自分らしい暮らしを営むことができるよう、保健・医療・福祉関係者による協議の場を通じて、重層的な連携による支援体制を構築するため、「精神障がいにも対応した地域包括ケアシステム」の構築を推進します。 A居住の場の確保 障がい者の地域における居住の場の一つとして、日常生活上の介護や相談援助等を受けながら共同生活するグループホームの整備をサービス事業者と連携して推進します。 基本方針3 保健・医療・福祉分野の連携強化 現状と課題 障がいのある人もない人も、だれもが健康な身体とこころを保てるように、健康診査や保健指導を通じて、障がいの原因となる疾病等の早期発見と予防、リハビリテーションの充実が求められており、保健・医療・福祉分野の連携体制を強化していく必要があります。併せて住民の主体的な健康づくりの取り組みと、年代や障がいの種別に応じたきめ細かな保健サービスの対応が求められます。 また、ストレスの多い現代社会では、精神障がいのある人が増加する傾向にあるため、こころの健康づくり活動の充実は重要な課題となっています。 施策展開 (1)関係機関の連携による支援の充実 @ニーズに応じた支援の充実 障がいや疾病の早期把握、早期治療のみならず、二次障がいの発生予防、在宅障がい者の健康管理や医療・リハビリテーションの充実を図るために、保健・医療・福祉・その他関係機関が連携し、健康診査、健康相談、健康教室などの保健サービスが利用できるよう支援していきます。 A主体的な健康づくりの推進 障がいの有無にかかわらず、主体的な健康づくりに取り組めるよう、各地区生活応援センターごとの公民館自主活動グループや健康チャレンジポイントを活用し、「自分の健康は自分でつくる」という意識づくりに努めます。 Bこころの健康づくりへの支援 「健康かまいし21プラン」に基づき、「ストレス」や「こころの健康づくり」についての普及啓発を進めます。 また、身近な人の悩みに気づき、共に考え必要な支援につなげるゲートキーパーの養成を図るとともに、こころの相談窓口についてわかりやすい情報提供を行い、こころの不調を訴える人やその周りの人が、適切な相談機関につながることができるよう支援体制の充実を図ります。   目標U 自立し、生きがいを持って生活できる環境づくり 基本方針1 生涯を通じた支援システムの確立 現状と課題 すべての障がい者が、自らが望む地域で自立した生活を営むためには、保健・医療・福祉だけでなく、教育や就労支援等、ライフステージに対応した一貫性・継続性のある適切な支援が必要です。 児童期から青年期へ、また、青壮年期から高齢期へと年代が変わるごとに関係する法律や制度が変わり、受けられるサービスや支援機関などの変更が必要ですが、生涯を通じ一貫した支援を受けることが求められています。 当市においては、市内8カ所に設置された総合相談窓口である各地区生活応援センターと地域包括支援センターなどの相談窓口を有機的に結び、支援が必要な人のニーズに応じた支援に結びつけています。 今後は、関係機関のさらなる連携を図り、相談支援のコーディネート機能を強化する必要があります。 施策展開 (1)発達支援体制の充実 @発達支援システムの構築 子どもの育ち方や暮らしの様子、子育て中の家族の思いを一冊のファイルに記録し、子どもに合う支援や気配りが切れ目なく継続して受けやすくなるように、自立支援協議会子ども支援部会においてサポートファイル「ぽけっと」を作成しています。 乳幼児期、学齢期から青年期までの障がいのある子どもに、切れ目ない支援をするため「ぽけっと」を活用するとともに、保健・医療・福祉・教育等の関係機関による早期からの横断的な発達支援の仕組みをつくります。 A発達障がい児等に対する支援 発達障害者支援法(平成16年法律第167号)において、発達障がいの早期発見・早期発達支援、地域での生活支援のほか、発達障がい児がその障がいの状態に応じ、充分な教育を受けられるようにするため、適切な教育的支援、支援体制の整備その他の必要な措置を講じるよう規定されています。 障がいを早期に発見し、早期に必要な療育を受けることは、その後の障がいの軽減や発達に及ぼす影響が大きいことから、障がい児が一貫性・継続性のある適切な支援が受けられるようにするため、保育施設や学校等の関係機関と基本的な情報を共有し、連携した支援を行います。 (2)自立した地域生活のための支援 @自立した地域生活のための支援 ライフステージに応じて自立した生活に必要な力を身につけるための学習・体験等の機会を提供するとともに、それらの成果を生かして社会参加していくための支援に努めます。 また、生涯を通じた生活支援、就労支援を系統的かつ継続的に行い、障がいの種別や程度にかかわらず、地域で自立して生活していけるよう関係機関と連携していきます。 (3)高齢になった障がいのある人への支援 @高齢になった障がいのある人への支援 65歳に到達する前から障がい福祉サービスを利用してきた人は、原則として65歳に到達した時から介護保険サービスが優先されることになります。 しかしながら、障がい福祉サービスから介護保険サービスへの移行が、本人の心身や生活状況等から適切と思われない場合もあります。 その人の生活を支えるサービスについては、本人の意向を可能な限り尊重し、障がい福祉サービスの利用継続を含め、スムーズに制度間で移行できるよう、本人、多職種及び関係者によるケア会議を開催するなどして、多様な視点からの協議を行い、日常生活を安心して送るための支援をします。 また、障がいのある人が、住み慣れた地域で、その人の有する能力に応じ安心して生活できるよう、一人ひとりに寄り添った包括的・継続的支援を地域包括支援センターほか、関係機関と連携し、充実させます。 基本方針2 早期療育と保育の充実 現状と課題 すべての子どもが健やかに成長し、自身の力を十分に発揮し、自分らしく生きるためには、障がいのある子どもや発達過程において未熟さがある子どもに対して、乳幼児期の早いうちから見守りや成長する機会を保障することが重要です。 当市では、母子手帳交付時から保護者への丁寧な関わりを重要視し、保健師が中心となり子育てに対するフォローアップ等に取り組んでいます。 障がい等により支援が必要な子どもの発達を支援し、身近な地域で安心して生活できるよう、「釜石市子ども・子育て応援プラン」に基づき、子どものライフステージに沿った支援を途切れさせずに一貫してできる支援体制の構築が必要です。 施策展開 (1)障がい児の早期療育の充実  @母子保健・発達相談体制の充実 障がいのある子どもや発達に支援が必要な子どもを早期に適切な支援につなげるため、療育や障がい福祉サービスに関する情報を提供します。 また、乳幼児健診や健診後フォローの教室等の母子保健事業の充実を図るとともに、子どもとその家族が身近に接する医療機関等との連携を強化し、障がいや発達について気軽に相談できる体制を充実します。 A発達に関する保護者等の理解の推進 障がいのある子どもや発達に支援が必要な子どもの保護者等が、障がいや発達についての理解を深め、早期療育の必要性を理解し、共に取り組んでいけるよう啓発に努めるとともに、対象児の保護者同士の交流の場を提供します。 (2)障がい児保育の充実 @障がい児保育体制の推進  障がいのある子ども一人ひとりの障がいやニーズに応じた発達支援を推進するため、こども園・保育所(園)・幼稚園において、障がい児等特別な支援が必要な子どもの受け入れを推進します。 また、保育士等の人材の確保や障がい児保育の理解と知識を深める研修を行うなど、保育環境の充実を図っていきます。 A専門機関等との連携強化 こども園、保育所(園)・幼稚園と児童相談所、釜石保健所などの専門機関の連携を強化し、児童相談所の発達障がい児相談や巡回相談などの効果的な活用や、県立療育センターとの相談の場を設定します。 B医療的ケアを必要とする子どもの支援 医療的ケア児及びその家族が個々の医療的ケア児の心身の状況等に応じた適切な支援を受けられることが重要な課題となっており、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資し、安心して子どもを生み、育てることができる社会の実現に寄与することを目的に、令和3年9月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(以下、「医療的ケア児支援法」といいます。)が施行されました。 釜石・大槌地域においては、「医療的ケア児の未来を考える会」を設置し、保健、医療、福祉、教育等の関係者と当事者家族により、医療的ケア児とその家族が直面する課題や対応策について検討を行っています。 また、令和3年6月より、障がい福祉コーディネーターを大槌町と共同で設置しており、医療的ケア児の状況に応じ、必要な支援が切れ目なく行われるよう、関係機関と医療的ケア児とその家族をつなぐ役割を担っています。 医療的ケア児支援法の基本理念に則り、医療的ケア児とその家族の意思が最大限に尊重された支援の推進に努めます。 基本方針3 学齢期の子どもの教育・療育の推進 現状と課題 特別支援教育は、共生社会の形成に向けて、インクルーシブ教育システム構築のために必要不可欠なものとされています。 当市においては、特別支援学校や専門機関との連携を図りながら就学指導を行い、一人ひとりのニーズに応じた支援の充実に努めています。 障がいのある子どもの多様なニーズに対応するため、特別支援教育の理解及び指導・支援に係る研修会の実施による教職員の資質向上を図るとともに、地域の学校と連携し、進学や就職等へ円滑につながるよう切れ目ない支援が必要です。 施策展開 (1)特別支援教育の充実 @就学指導の充実 一人ひとりのニーズに応じた教育を実現するため、乳幼児期の支援を踏まえた就学時の相談や支援の充実を図り、関係機関が情報を共有しながら連携し、系統的な支援を行います。 A地域の学校での特別支援教育の充実 一人ひとりのニーズに対応できるよう、個別の指導計画、教育支援計画に基づき、特別支援教育を推進するとともに、必要に応じて特別教育支援員等の配置に努めます。また、障がいのある子どものニーズに対応するため特別支援教育の理解及び指導・支援にかかる研修会を実施し教職員の資質向上に努めます。 さらに、障がいのある子どもが適切な教育を受けられるよう、ニーズに応じた特別支援学級の設置を県と連携し取り組んでいきます。 B特別支援学校や専門機関等との連携強化 それぞれの地域の学校での特別支援教育を専門的な見地から支援するため、教育相談や事例検討会等に、特別支援学校や関係機関から相談員等を招き、特別支援学校や専門機関等との連携を強化します。       (2)放課後や長期休業中の活動の場の確保 @放課後児童クラブにおける受け入れの推進 障がいのある子どもの放課後や学校の長期休業中の活動の場として、子どもたちが障がいのあるなしにかかわらず、一緒に遊んだり、活動できるよう、放課後児童クラブでの受け入れを継続します。 A日中活動の場の充実 日中一時支援事業や放課後等デイサービスなど障がい福祉サービスを充実し、障がいのある子どもの居場所づくりに努めます。 基本方針4 就労支援の推進 現状と課題 障がいのある人への就労支援は、障がいのある人の社会的自立、経済的自立とともに、社会参加を促進し自己実現を図るうえで重要です。 当市では、釜石大槌地域障がい者就業・生活支援センター等と連携を図り、就労支援のネットワークづくりや、総合的な相談支援とコーディネートができる体制づくりを推進しています。 令和2年度アンケート結果では、回答した約3分の1の方が、今後収入を得る仕事をしたいと回答しており、そのうち半数の方が職業訓練などを受けたいと回答しています。また、障がい者の就労支援として必要なことは、障がい者の雇用に理解があることという回答が最も多くなっています。 地域全体の障がいに対する理解と障がい者が働きやすい環境づくりを促進していく必要があります。 施策展開 (1)就労支援ネットワークの強化 @就労支援ネットワークの強化と総合的な相談支援とコーディネートの充実 障がいのある人の就労を効果的に支援するため、市、ハローワーク、各相談機関、サービス事業者、職業訓練協会等の福祉と労働の関係機関によるネットワークを強化し、相談支援とコーディネートの充実、就労した人を継続的に支援するため、就業・生活支援センターと必要によってはジョブコーチの活用によりきめ細かな支援に努めます。     (2)企業等における障がい者雇用の推進 @企業等への啓発 事業主に障がい特性や施策及び制度について理解してもらうため、障がい者雇用に関する研修会等を開催するとともに、市内の企業や事業所を訪問し、障がい者雇用についての啓発を行います。 A障がい者雇用を行う企業等に対する支援 企業に対し、障がい者雇用に関する助成制度や、国等における支援施策についての情報提供を行うとともに、助成制度を活用するための助言や手続きの支援等をハローワークと連携して行っていきます。 また、障がいのある人を雇用している企業等に対して、障がいの特性などに応じた働きやすい環境を整備していくよう、相談やアドバイスを行う仕組みづくりを進めます。       B行政機関での障がい者雇用の推進 市での障がい者雇用の推進を図るため、正規職員をはじめ、会計年度任用職員についても積極的に障がい者の雇用に努めるとともに、個々の障がいの特性に応じた適正な雇用管理を行います。 また、職員募集にあたっては、パソコンによる筆記試験の実施や、口述面接での手話通訳や要約筆記の派遣等、障がい種別にとらわれない募集を行います。 C就労に向けた訓練・実習等の充実 企業等での一般就労を目指す方が、企業が求める知識・技能などを身につけるために、就労移行支援事業を推進します。  また、就業後は、就業・生活支援センターと就労移行支援事業所が職場での直接支援や助言を行い、一般就労した障がいのある方の職場定着支援を推進します。     (3)福祉的就労の充実 @障がい者工賃の水準向上 現在、当市においては4カ所の就労継続支援事業所が運営されています。障がい者就労施設の安定した運営は、障がい者本人の経済的な基盤の確立とともに、就労意欲の向上にもつながるものであることから、就労継続支援事業所での生産業務の拡大と工賃の確保が図られるよう支援します。 A障がい者就労施設等優先調達方針に基づく物品等調達の推進 平成25年4月から、「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」が施行され、当市においても、毎年度、障がい者就労施設等優先調達方針を定め、取り組んでいます。 今後も、同法に基づき、全庁的な取り組みとして、官公需における受注機会拡大の浸透を図ります。 基本方針5 社会参加活動の推進 現状と課題 生涯学習・スポーツ活動等は、障がいのある人の社会参加を促進し、生活の質を向上させるうえで重要な役割を果たすだけでなく、健康の増進・機能回復の効果も期待できます。 当市では、さまざまな保健事業に取り組むとともに、スポーツ大会への参加を通して、障がいがある人の健康に対する意識向上に努めています。また、障がいのある人の社会参加を支援するため、移動支援やコミュニケーション支援、障がい者団体への社会参加費用の助成を行っています。さらに、当事者団体による交流会の開催によって、当事者同士の交流も図られています。 今後も、障がい者団体などの活動支援や、障がいのある人もない人もともに楽しめる生涯学習・スポーツ・交流の場の提供に努め、障がいのある人が積極的に社会参加できる環境づくりに努める必要があります。 施策展開 (1)生涯学習等への参加の推進 @参加しやすい生涯学習の推進 生活の向上を図り、ゆとりやうるおいのある生活を送るために、文化・芸術活動やスポーツ活動等を通じて、仲間づくりや達成感を感じることができるよう、誰もが参加しやすい講座、教室等の開催に努めます。 A障がい者スポーツ等の推進 障がいのある人の生きがいや生活の質の向上、自立や社会参加を促進するため、障がいのある人が自主的かつ積極的にスポーツに取り組めるよう、関係機関と連携し、障がいの種類、程度に応じて配慮がなされた障がい者スポーツや、障がいのある人もない人も一緒に実践できるスポーツの普及を推進します。 (2)当事者活動の充実 @障がいのある人自身による主体的な活動への支援  障がいのある人やその家族が主体的に社会参加活動に取り組めるよう支援するため、障がい者団体や支援者等が行う自発的な活動に対する助成を行うとともに、活動の場づくりや情報提供などを推進します。 また、社会活動に主体的に参加する意欲を高めていくために、障がい者団体等と協力して地域における交流や学習を行う機会の充実を図ります。    目標V ともに支え合って生活できる社会づくり 基本方針1 啓発広報の推進 現状と課題 障がいのある人の社会参加を阻害する要因の一つとして障がいやその特性に対する理解不足があります。 令和2年度アンケート結果では、回答をした約半数の方が「障がいがあることで差別や嫌な思いをする(した)ことがある」と回答しています。 平成28年4月1日に障害者差別解消法が施行され、不当な差別的取扱いを禁止し、合理的配慮の提供が求められていますが、理念がまだ浸透していないといえます。障がいのある人もない人も安心して心豊かに暮らせる地域社会は、インクルージョンの理念が行き届いた住みやすい社会です。そうした社会づくりを推進するためには、すべての人が障がいについて理解し、認識を持つことが必要であり、障がいのある人の問題を、市民一人ひとりが身近な問題として考えていくことが重要です。 施策展開 (1)啓発広報の推進 @障がいや障がいがある人に対する理解の促進 広報かまいしに「ふくしトピック」を定期的に掲載し、障がい理解の促進や制度についての周知を図っています。今後もこの取り組みを継続し、理解の促進を図っていきます。 また、障害者週間や釜石市ふれあい福祉まつり等の機会をとらえ、障がい理解に向けた講座の開催等、意識啓発にかかる取り組みを推進します。 A学校での交流や体験学習の推進 市内小中学校や特別支援学校、社会福祉協議会等と連携し、体験や交流を生かした学習を通して、障がいについて理解し、共に生きる意識を身につけるための取組を推進します。 (2)障がいを理由とする差別の解消の推進 @障がいのある人の人権に関する理解と認識の啓発 障がいのある人の人権に関する理解と認識を深めるため、「障害者差別解消法」や「障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例」の基本理念をはじめとする考え方を、広報かまいしや市のホームページ等を通じて広く啓発します。 A障がいを理由とする差別の解消の推進 平成28年4月1日に施行した「釜石市における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」に基づき、障がい者の社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮の提供を推進します。 基本方針2 生活環境の整備 現状と課題 障がいのある人のみならず、高齢者や妊産婦、子どもなど誰もが心地よく暮らすために、ユニバーサルデザインの理念に基づき、総合的かつ継続的な取り組みを推進していくことが重要です。 国は、平成18年度に「高齢者・障害者等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」を交付し、公共交通や道路、路外駐車場、公園施設、建築物におけるバリアフリー化を一体的に推進しています。 東日本大震災からの復興まちづくりにあたっては、このユニバーサルデザインの理念が広く取り入れられ、施設のバリアフリー化に配慮されていますが、既存の公共施設については、早急な整備が困難であり計画的に順次進めていく必要があります。 今後も、広く市民に対してユニバーサルデザインの考え方を普及啓発していくとともに、行政においても、障がい当事者の意見を反映したユニバーサルデザインの理念に基づいた事業を推進していくことが必要です。 また、障がいのある人が地域の一員として地域に関われるよう、地域活動に積極的に参加できるような状況を生み出すこと、そして、地域で障がいのある人を支援するネットワークをつくり、見守り活動を実践すること、移動手段の確保や活動場所の提供を通じて、地域や本人の取り組みを支援していくことが課題となります。 施策展開 (1)ユニバーサルデザインのまちづくり @ユニバーサルデザインの普及・啓発の推進 ユニバーサルデザインのまちづくりは、市民一人ひとりが、互いの違いや個性等に気づき、理解し合うことから始まります。このことから、あらゆる機会を啓発の場ととらえ、年齢、性別、障がいの有無に関わらず、誰もが心地よく利用しやすいユニバーサルデザインの考え方を普及・啓発する活動に努めます。 A情報のユニバーサルデザイン化の推進 障がいのある人に必要な情報が伝わるよう、各種情報の発信にはユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、誰もが分かりやすい情報提供を行うよう取り組みます。 また、誰もが情報を理解できるよう、情報通信技術や手話通訳等の多様な伝達手段を活用して情報を提供します。 (2)移動手段の整備・充実 @移動支援の充実 自立支援給付の同行援護や行動援護、市町村地域生活支援事業に位置付けられている移動支援について、充実を図ります。 また、視覚障がい者の日常生活が豊かになるよう、活動範囲を広げる支援をするサポーターの育成に努めます。 (3)ボランティア活動の促進 @ボランティア活動の促進 ボランティア・自主グループ活動に関する情報収集・提供、相談・啓発等を行い、住民の活動への参加を支援します。また、社会福祉協議会を中心に各種ボランティアの養成講座の支援を行います。 基本方針3 情報・コミュニケーションの構築 現状と課題 情報通信技術の進歩は一部の障がいのある人にとって幅広い情報に接する機会を提供した反面、情報機器やインターネットを利用できない障がいのある人や高齢者は、情報へのアクセスが妨げられ、これまで以上に情報へのバリア(障壁)が高くなって、必要な情報が入手しにくい状況や速やかに伝わらないといった格差が生じています。 手話通訳や要約筆記、点字、音訳による情報提供といった、人の手による情報提供の充実に加え、広報紙を含めた情報伝達手段の充実を図りつつ、情報通信技術を活用した情報提供を進めるため、障がい特性に応じた情報バリアフリーの促進や充実が課題となっています。 施策展開 (1)情報バリアフリーの促進 @情報提供機能の充実 障がいがあっても身近な情報を容易に受け取ることができ、知りたい情報にリアルタイムでアクセスできるよう、各種のサービス情報や施設情報、団体情報、イベント情報など、さまざまな情報資料については、点字広報や声の広報の配布だけでなく、あらゆる情報通信技術を活用し、障がいがある人のニーズに応じた情報提供に取り組みます。 また、市ホームページについては、どのような環境の人でも利用しやすく分かりやすい構成となるよう制作・更新に努めます。 情報・通信支援用具や聴覚障害者用通信装置等、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業(日常生活用具給付等事業)の周知と活用を促進します。 (2)コミュニケーション支援の充実 @意思疎通支援者の派遣体制の整備と人材の養成 聴覚に障がいがある人の自立や、社会参加を一層推進するため、意思疎通支援者(手話通訳者、要約筆記通訳者)の派遣体制の充実に努めます。 また、手話通訳や要約筆記通訳、音訳や点訳などのコミュニケーションを支援する人材の養成に努めます。   A釜石市手話言語条例の推進 当市では、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解及び手話の普及並びに地域において手話を使用しやすい環境を構築するため、令和3年6月に「釜石市手話言語条例」を制定しています。 ろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会を実現するため、手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進します。 基本方針4 防災・防犯対策の充実 現状と課題 障がいのある人が安全に暮らし続けることができるよう、関係機関と連携し、啓発と自助を図る必要があります。 町内会組織、自主防災組織、消防団等の地域組織による防災訓練の実施や対応力の強化、防災意識の高揚を図るとともに、災害時の体制整備を図ることが課題です。 平成23年3月の東日本大震災では多くの方が亡くなり、また行方不明になっています。高齢者や障がいのある人など、要配慮者の避難所における避難生活においてもさまざまな課題が残りました。 このことから当市では、障がいがある人向けに、生活支援などの特別な配慮がなされた福祉避難所として障がい者自立支援施設大松、釜石いこいの家、釜石市身体障害者福祉センターの3施設を指定しています。 さらに、避難行動要支援者避難支援計画の策定及び、避難行動要支援者名簿の作成が完了し、現在は、個別避難支援計画の策定に取り組んでいます。 今後は、障がいのある人自身が普段から防災・防犯に関する意識を持つよう啓発するとともに、災害時の地域での見守り・支援体制づくりを推進する必要があります。 また、近年、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺や悪徳商法によるトラブルが増加しています。障がいのある人がそれらの犯罪に巻き込まれないよう、関係機関や、地域との密接な連携を取りながら、きめ細かな防犯対策が必要です。 施策展開 (1)防災・防犯に関する支援 @防災に関する意識づくりの推進 地域で安心して暮らしていくために、障がいのある人やその家族、支援者が防災についての理解を深め、自分自身で取り組む意識を高めていくよう、啓発活動に取り組みます。あわせて住宅や家庭内の危険個所の点検、避難方法の確認など、災害時に備えた日常的な取り組みを推進していきます。 A災害時の支援体制づくりの推進 地域の民生委員や社会福祉協議会との連携により避難行動要支援者の把握に努めるとともに、避難行動要支援者個別避難支援計画の策定を進め、地域や消防団との情報共有及び協働により素早く安全に避難できる体制づくりを支援します。 また、地域住民が普段から交流や訓練等を通じて、災害時等に支援が必要な人に的確な対応ができるよう、地域での支援体制づくりを支援します。 さらに、令和2年9月に公表された日本海溝・千島海溝沿いの最大クラスの津波による浸水想定で、新たに浸水区域となった地域に立地する施設の機能移転を進め、利用者や職員の安全確保に努めます。 B障がいに配慮した避難所の確保と避難所での生活支援の推進 令和3年5月に改訂された国の「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」に基づき、避難所において障がい者が障がい特性に応じた支援と合理的配慮を得ることができるよう、災害時の避難所を障がいのある人にも配慮をするとともに、介護やコミュニケーションを支援する体制づくりを、サービス事業所やボランティア等と推進していきます。 また、新たな福祉避難所の指定についても、関係機関と協議を進めます。       C防犯対策の充実 障がいのある人が安心して暮らせるよう、町内会、民生委員、釜石市防犯協会、警察などと連携した防犯体制づくりを推進するとともに、聴覚障がいや発話障がいにより電話を使用することが困難な障がい者が、携帯電話から緊急通報を行うことができる110番アプリシステムやNET119の周知に努めます。 また、障がい者が振り込め詐欺などの特殊詐欺や悪徳商法などの消費者トラブルに巻き込まれないよう啓発活動に取り組みます。 第5章 計画推進に向けた関係機関等との連携 1 計画の推進体制 (1)庁内における計画の推進  計画の推進にあたっては、障がい者(児)の福祉施策の方向性を示すものであることから、関係が広範囲にわたり、庁内の機関等と整合性を図る必要があります。 このことから、関係各課との連携を図りながら計画の実施に取り組むとともに、障がい福祉、特に難病・発達障がいなどに関する関心や理解を深めてもらうため、保育所・幼稚園・小中学校などの教育機関・老人クラブやボランティア団体など地域の関係機関と連携をとりながら、福祉教育を推進します。 また、市の広報紙やホームページ等を利用して、障がい福祉に関する情報の提供を行い、障がいのある人が気軽に利用しやすい体制の整備を行います。 障がいのある人からのニーズの把握については、相談支援専門員と連携し、障がいの種別に応じた総合的な支援体制が取れるよう事業の充実を図ります。 成年後見制度・日常生活自立支援事業の活用の啓蒙及び関係機関との連携強化を図ることにより、障がいのある方が安心して生活できるような制度利用を進めます。 「障害者虐待防止法」や「障害者差別解消法」及び「障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例」の推進により、障がいのある人に対する誤解や偏見など、理解不足による不利益な取り扱いを解消するため関係機関と連携し、解消に努めます。 (2)地域における各種団体、民間企業との連携 本計画は、地域全体で障がい者を支え合う力を高める観点から、障がい者関係団体、福祉サービス事業者、保健・医療関係者、企業等の支援のネットワークが必要となります。 地域の障がい福祉ネットワークの核となる自立支援協議会を中心に協議を進め、多方面からの意見・提案を踏まえながら、計画を推進していきます。 障がいのある人の雇用についての理解を深めるため、関係機関との連携を図りながら新たな雇用の場の確保に努めます。 (3)県及び大槌町との連携 この計画の推進にあたっては、サービスの調整や効果的なサービス提供基盤の整備、人材の育成、就労支援など、広域的な対応が必要となります。そのため、障がい保健福祉圏域を構成する大槌町及び岩手県との連携を図ります。 2 計画の点検・評価と見直し 本計画の推進に当たっては、計画の実行性を確保するため、障がい福祉計画に定める成果目標及び見込量の達成状況の点検・評価と併せ、自立支援協議会等において計画の進捗状況の点検及び評価を行い、計画の着実な進展を目指します。