姉妹都市提携 平成6年4月20日

 ディ-ニュ・レ・バン市(アルプ・ド・オ-トプロヴァンス県) フランス共和国
 DIGNE LES BAINS Département des Alpes de Heute Provence

  

交流経過

 平成4年(1992年)に釜石市で三陸・海の博覧会が開催されるにあたり、「アンモナイトの壁」剥離標本がディーニュ市を始めとするフランス技術団の協力により完成され、博覧会のシンボルとなりました。

     
【三陸・海の博覧会の様子】 

 この博覧会を記念して、当市の鉄の歴史館に「アンモナイトの壁剥離標本」を永久保存することになりましたが、その際、ディーニュ市の関係者の方々から快い協力をいただいたことから、両市の交流が始まりました。

 

 

ディーニュ・レ・バン市の紹介

(1) 位置

 ディーニュ・レ・バン市は、フランスの首都パリから南東およそ650kmに位置するアルプ・ド・オ-トプロヴァンス県の県庁所在地で、アルプス山脈の麓にあるまちです。
 人口は約1万7,500人、面積は11,707ヘクタール(釜石市の約4分の1)です。

 

(2) プロヴァンス地方の気候

 ディーニュ・レ・バン市のあるアルプ・オート・プロヴァンス地方は、デュランス川(※1)の深い谷、南に向かって開けた平野部、アルプス山脈に続く高い山と変化に富んだ地形で、その気候は、年間約300日の晴天に恵まれる比較的乾燥したプロヴァンス型の気候が主となっています。
 プロヴァンス型気候の特徴は、穏やかで過ごしやすい冬と、乾燥した暑い夏です。
 1月の平均気温は0度で、氷点下に下がることもあります。7月の気温は18度から20度ですが、35度を超えることもあります。
 プロヴァンス型気候の特徴の一つにミストラルがあります。激しく冷たい北風で、年間を通して吹きます。風速が秒速27mを超えることも珍しくありません。この風が吹くと気温が一気に10度程下がります。
 年間降水量は、約1000mmで、フランスの中でも降水日数が最多のブルターニュ地方の平均降水量と同程度です。プロヴァンスの雨は、短時間に激しく降ります。夏は、特に乾燥するので、山火事対策に注意が払われています。
 ディーニュ・レ・バン市は、日本同様に四季があり、次のように分けられます。
 春:3月頃~6月頃
 夏:7月頃~8月頃
 秋:9月頃~10月頃
 冬:11月頃~2月頃 です。
 年によって、雪がぜんぜん降らなかったり、暑い日が長く続いたりして変動が激しいことがあります。
※1 南アルプスに端を発するデュランス川は、地中海までの総延長が300km以上にもなります。シストロン(SISTERON)より上流では山中の狭い川として勢いよく流れていますが、プロヴァンスに流れ込むと同時にゆったりとした紺色の水が広い砂利の河原の中を浅く流れてゆきます。でも、春の雪解け時期や秋の大雨の時期には信じられないほど水量が増すことがあり、時に川の両岸の果樹園等を水で埋め尽くしてしまうこともあります。

(3) 主な産業

 ディーニュ・レ・バン市の伝統的な産業は農業で、特に穀類や樹木栽培が盛んです。
 地中海原産のオリーブは、2500年ほど前に古代ギリシャ人によってプロヴァンスに伝えられました。このオリーブは、6年で実をつけるようになり、20年で完全な成木になった後は、何世紀にもわたってその葉を茂らせる長命な植物です。
 オリーブの実の採集は、11月から1月にかけて手作業で行なわれるのが通例です。粒の大きな実は食用に、粒の小さなものはオリーブオイル用にと選別されます。
 オリーブの木は、美しい木目、堅くどっしりとした質感、つや感のある滑らかな手触りを生かして、木工品に加工されます。飾り柱、テーブルや椅子などの家具、長く愛用できるキッチン用品(サラダボウル、チーズ用カットボードなど)にもオリーブ材が好まれます。
 ハーブ類は、自生、栽培を問わずプロヴァンスの人々の生活に密着しています。料理だけでなく、ハーブティー、香水、民間療法などに用いられます。特に、プロヴァンス料理はハーブをたくさん使う独特の風味で愛されています。肉料理によく合うタイム、魚料理に用いられるフェンネルやセージ、山羊のチーズに添えるサリエット、食前酒にはアニスやミント、この他ローズマリー、コリアンダー、バジリコなど、プロヴァンスの人々は様々なハーブを使いこなしています。
 夏が近くなると、プロヴァンス地方はラベンダー色に染まります。ラベンダー栽培が始まったのは19世紀に入ってからですが、中世の頃よりその殺菌効果はよく知られていました。収穫した花をよく乾燥させた後、蒸留してエッセンスオイルを抽出します。120kgの花からは1kgのオイルしか取れません。このオイルが香水の調合、石鹸、アロマキャンドル、芳香剤などのアロマグッズに用いられます。乾燥させた花そのものを使うポプリも有名です。

(4) 特産品

 ディーニュ・レ・バン市の伝統工芸としては、陶器、サントン、オリーブ材加工、ガラス細工、プロヴァンス柄の布製品などが有名です。
 サントンとは、テラコッタ(土を焼いたもの。建築資材等に使われる。)に彩色して作られる人形です。フランス革命期、庶民の反乱に恐れをなしたカトリック教会はその扉を閉じていました。教会の手を借りず、自分たちでクリスマスを祝おうとした人たちが、キリスト生誕の場面を再現するために粘土で小さな人形を作りました。これがサントンの誕生です。テラコッタの赤い色は、天気が良ければ戸外で仕事に精を出す働き者の日焼けした頬を連想させます。キリストの誕生を祝う人たちが、羊飼い、農民、機織りなど、働く姿で表現されているのも、サントンが多くの人に愛される理由かもしれません。

   
【サントン】

 農業の近代化、過疎問題、伝統工芸の保存などの難題を解消する方策として、ディーニュ市を中心とした広域化と連携の試みが、着実に成果をあげています。現在は42の市町村が参加し、若年層への職業指導、農地の整備や管理、同業者間の連絡などが行なわれています。
 この他、羊、ラベンダー、はちみつ、オリーブ、トリュフなどが特産品として知られています。

 
【ラベンダー畑】

(5) 街のみどころ

 毎年6月になると、ラベンダーが一斉に花開き、夏の訪れを告げます。8月最初の日曜日にはラベンダーの収穫を祝う「ラベンダー行列」が行なわれる他、何日にもわたってラベンダー祭が開催されます。

   
【ラベンダー祭りの様子】

 市内には有名な「アンモナイトの壁」や地質学研究所があり、地質学だけでなく、動植物の研究成果においても世界的に有名です。

   

【アンモナイトの壁】

 

 ディーニュ市は気候の温暖な地中海に近く、ガロ-ロマン時代(紀元前5~3世紀)以来、湯治のための保養地としても知られています。ディーニュ市の温泉は、湯温が約30度~50度で、特にリューマチや呼吸器系の病気に効果があり、毎冬、多くの人が保養に訪れます。実際、ディーニュの子ども達の喘息罹患率はほぼ0%です。

(6) ディーニュ市出身の有名人

 ディーニュ市出身の有名人に、女性冒険家アレクサンドラ・ダヴィッド=ニール(1868-1969)がいます。
 彼女は、25年かけてチベット文化やヒマラヤ山脈に関する研究に没頭したことで知られています。
 彼女の他にも、ピエ-ル・ガッサンディ(哲学者、科学者)、シモン・ジュ-ド・オノラ(辞書編者、博物学者)、アルフォンス・ブ・ド・ロッシャ(エンジニア)たちがディーニュの生まれです。

  Alexandra David Neel
 (1868 - 1969)
 アレクサンドラ・ダヴィ・ニール
 東洋探検・小説家

(7) ディーニュの歴史

 ディーニュ市のあたりには、先史時代から人が暮らしていたことが分かっています。この人たちは早くから農業や放牧を生活の糧にしていました。高低差のある地形を生かして、毎夏になると、プロヴァンス特有の酷暑を避けて、牛や羊の群を山間部へ連れていったことは想像に難くありません。
 ディーニュ市は、三つの谷が交わるので、動物の移動や塩を運ぶルートとして、何度も谷を越えなければなりません。そのため、吊り橋建設技術が発達しました。
 古代ローマ帝国の支配下に置かれると、ディーニュ市はコミュニケーションの要地となりました。現在も市内のあちこちでローマ時代の遺跡を見ることができます。カステラーヌとシステロンを結ぶローマ街道に用いられた敷石は、市の博物館にも収蔵されています。
 ローマ帝国の崩壊後は、フランス王の支配に置かれましたが、ディーニュ市は外敵(とくにサラセン人)の襲撃に何度もさらされました。現在ノートルダム・カテドラルが建っている場所には、当時の防御壁跡があります。

 
【山あいに広がるディーニュの街】

 
【ノートルダム・カテドラル】

 シャルル・ダンジューの時代(13世紀)になると、ディーニュ市は主要な道路が交差する流通の要所だったため、商業都市として発展します。
 フランス革命(1789年)後の近代フランスが形成されていく時期に、ディーニュ市は県庁所在地に選ばれました。こうして、商業的だけでなく行政的にも大きな役割を果たすことがディーニュ市に期待されました。そのため、県庁所在地にふさわしい大通り(現在のガッセンディ大通り)や噴水をそなえた広場や劇場の建設、市場や住宅地の整備、学校施設の設置などが進められました。山間部に鉄道が敷設され、地中海沿岸のニースとの交通も便利になりました。これがプロバンス鉄道(通称:松かさ鉄道)です。

 

 
【プロヴァンス鉄道】

(8) 広域連携を活用した観光・教育

 戦後は観光地としても発展し、現代風の湯治施設、球技場やキャンプ場、青少年のための文化センター、会議場がどんどんと整備されました。

 

【タラソテラピー】

 

 1998年6月にディーニュ市を中核とした44の市町村が、「ディノワ(ディーニュびと)の国」と名付けて連携・広域化し、ツーリズムによる経済の活性化を図ろうという政策により、近年は、ディーニュと近隣の町が連携して観光業に力を入れています。プロヴァンス鉄道を大いに活用した子どもたちの野外活動(乗馬、サイクリング、カヌーによる川下り)、温泉とラベンダーのアロマを組み合わせたタラソテラピー、ゴルフ、パラシュートやロッククライミングなど、自然環境を生かしたアトラクションが魅力です。
 また、ディーニュから車で1時間足らずで行けるスキー場はたくさんあります。中でもディーニュの人たちがよく利用するのは、ル・グラン・ピュイ、シャバノン、ル・コル・サンジャンなどのスキー場です。

 

 

 

 

【自然環境を生かしたアトラクション】

 

(9) 釜石ガーデン

 ディーニュには、日本をイメージした庭園があり、「釜石ガーデン」と名づけられています。

 
【釜石ガーデン】

ディ-ニュ・レ・バン市 ホームページ

 

-紹介文作成および資料提供-
株式会社 セルク