施政方針
1 はじめに
2 第六次釜石市総合計画
(基本理念と将来展望)
3 重点をおいて取り組む施策
(重点施策と都市基盤の整備)
【重点施策】
(1) 次代を拓く産業の活力再生と雇用の創出
(雇用創出計画)(産業の振興)(力強い産業の集積)(人材の育成)
(2) 次代を支える農林水産業の振興
(水産業の振興)(農林業の振興)
(3) 次代につなぐ観光とにぎわいの拠点形成
(戦略的なにぎわいの創出)(釜石型観光の推進)(商業の活性化)(世界遺産登録の推進)
(4) すべての人の生涯にわたっての健康安心づくり
(保健の充実)(医療の充実)(福祉・介護の充実)
(5) 未来を託す子ども・子育て・若者支援
(人と人との結びつき)(児童福祉の充実)
(6) 地域コミュニティの強化
(見守りの推進)(日常生活の足の確保)(循環型社会・低炭素社会の構築)(情報化の推進)
(7) 安全なまちづくりの推進
(防災体制の強化)
(8) 楽しく学ぶ環境づくり
(ものづくり精神の継承)(就学前教育の充実)
(9) いきいきスポーツ交流の展開
(岩手国体への対応)【都市基盤の整備】
(1) 高規格幹線道路の整備
(高規格幹線道路の早期整備)
(2) 釜石港の高度化
(釜石港の高度利用)
(3) 生活関連基盤施設の整備
(住環境の整備)(上下水道の整備)(防災基盤の整備)
(4) 効果的な土地利用の推進
(土地利用の基本方針)(魚河岸地区の整備)
4 基本構想の着実な推進
(構想の推進)
(1) 市民みんなが主役として輝くまちづくり
(協働の推進)(男女共同参画社会の形成)
(2) 釜石らしさの創造と広域連携によるまちづくり
(釜石らしさの創造)(交流と連携の推進)
(3) 戦略的な組織体制と健全な財政基盤によるまちづくり
(行政改革)(財政運営)
5 むすび
1 はじめに
平成19年11月に、私が市民の負託を受け釜石市長に就任してからすでに3年余りが経過し、4年の任期も残すところ9か月足らずとなりました。
振り返りますと、市長の任に就いた平成19年は、市民悲願の仙人峠道路、湾口防波堤及び公共ふ頭の3大基盤が整うと同時に、市制施行70周年及び近代製鉄発祥150周年という節目でもあった、まさに釜石新時代の幕開けの年でありました。
そこで私は、この3大基盤を生かした産業振興への戦略的な取り組みを最重要課題として位置付け、雇用の場の創出を図ること、また、生活応援センター機能の一層の強化による保健福祉の充実に取り組むとともに、地域内格差を解消し安心して生活できる生活基盤を高めながら、市民との対話を第一に、市民総参加による希望ある確かな未来の構築のため、全力で取り組むことを決意し、基本理念「みんなで創る希望のまち新生釜石の実現」の下、「心はひとつ、ふるさとに活力を」「子どもに未来を、市民にやさしさを」「市民が主役の開かれた市政」の3つの基本姿勢の具現化に全身全霊であたってまいりました。
その結果、「心はひとつ、ふるさとに活力を」では、緑のシステム創造事業の立ち上げやバイオマスタウンとしての公表、コンテナクレーンの設置、新魚市場整備への着手、三陸縦貫自動車道の進捗等、地域経済活性化に向けた産業振興策に官民一体となって取り組むことができました。
「子どもに未来を、市民にやさしさを」では、不撓不屈の精神、チャレンジ精神の象徴である橋野高炉跡が、ユネスコ世界遺産登録を目指している遺産群の構成要素のひとつとなったことや、地域医療再生計画により地域医療の充実が図られていることのほか、出会いの場の創出や経済的支援等の少子化対策、自主防災連絡協議会の結成等の地域防災力の強化の取り組みなどを着実に展開することができました。
「市民が主役の開かれた市政」では、地域課題の解決に向け、地域住民自らがネットワークを形成して地域経営を行うシステムである「地域会議」による個性あふれる地域づくりの活動がスタートしているほか、「市民と話す日」や地デジ対策を含む地域情報通信基盤整備等に取り組んだことにより、市民主体の住みよい地域づくりに向けた動きが力強く前進していると感じております。
この間の、市議会並びに市民の皆様のご支援、ご協力に改めて感謝を申し上げます。
しかし一方では、折からの金融危機の影響を受け、新たな企業誘致の具体化や内航フィーダーコンテナの定期航路化が実現しないなどの課題が残されておりますし、高齢者の独居世帯や老老介護の増加など、早急に対処しなければならない課題も増えてきている状況にあります。
本日は、平成23年3月釜石市議会定例会が開会されるにあたり、こうした成果や課題を踏まえながら策定を進め、今定例会に提案しております第六次釜石市総合計画基本構想案に沿って、市政運営についての所信の一端を申し述べたいと存じます。
2 第六次釜石市総合計画
(基本理念と将来展望)
平成23年度を初年度とし、平成32年度までの10か年を計画期間とする第六次釜石市総合計画基本構想では、当市の歴史を踏まえ、根幹となるまちづくりの基本理念として、「人」「自然」「技術」の3つの要素を掲げるとともに、基本理念や市民の意向、想定される今後の社会状況の変化などを踏まえ、「人と自然と技術が織りなす環境と産業が調和した未来創造都市」を新たな都市像として定めたいと考えております。
「未来創造都市」とは、新たな展望を切り拓いていくため、これまでの歴史に学びつつ、たゆまぬ挑戦により、地域の魅力を活かした釜石らしさを新しい価値として創りだしていくことであります。
それは、これからの時代の変化に対応した取り組みでもあり、同時に、市民の皆様とともに明日の希望を創りだすための取り組みでもあります。
その上で、この都市像の実現に向け、3つの基本目標及び7つの政策推進目標を定めて「活力」「安心」「個性」の創造を目指すとともに、さらにその具体的な推進策として、9つの重点施策及び都市基盤の整備を設定し、まちづくりを展開してまいりたいと存じます。
3 重点をおいて取り組む施策
(重点施策と都市基盤の整備)
それではここからは、その9つの重点施策及び都市基盤の整備の項目別に、平成23年度の主な取り組みをお示しいたします。
はじめに、9つの重点施策についての取り組みであります。
(1) 次代を拓く産業の活力再生と雇用の創出
重点施策の1つ目は、「次代を拓く産業の活力再生と雇用の創出」であります。
高規格幹線道路と港湾の整備による物流基盤の高度化や、当市が長年にわたって培ってきた人材や技術等の産業基盤のほか、森と海などの多様な地域資源を活用し、低炭素・資源循環型社会に対応した産業の集積に努め、雇用の安定確保など地域内産業の活力再生を図る必要があります。
(雇用創出計画)
はじめに雇用対策にふれますと、平成21年12月に策定した「釜石市雇用創出計画」については、21年度は、目標125人に対して241人の雇用が創出されているほか、22年度においても目標194人を達成する見込みとなっており、雇用奨励金交付事業、商業施設出店促進モデル事業補助金など新たな支援制度の創設によって、順調に推移しているものと認識しております。
こうした中、迎える23年度は、雇用創出計画の最終年度でもあることから、関係機関との連携をさらに強化し、目標達成に向け積極的に事業展開してまいります。
(産業の振興)
次に、産業の振興については、市内企業、釜石・大槌地域産業育成センター、岩手県及び関係機関と連携し、地域産業の担い手となる人材育成に関する様々な施策を展開しながら、地域の強みと資源を活用した新しい産業の創出や誘致企業等との連携による新たな事業展開などにより、第一次産業から第三次産業にわたる幅広い視点での産業の振興と地域経済の活性化が図られるよう取り組んでまいります。
中でも、産業育成センターについては、総合的な産業支援機関として地域産業の振興に果たす役割が大きく、さらなる活躍が求められていることから、機動的な体制を確保するための組織の見直し及び機能強化のほか、海洋産業の創出、第六次産業の確立、コバルト合金産業をはじめとする釜石型産業のクラスター化の促進など今後10年間の新たな展開について、具体的な検討を行っております。
また、沿岸地域や北上周辺地域をはじめとした企業活動などの優位性を確保するため、民間が主体的に行っているLNG勉強会を中心に、LNG等供給基地の設置の可能性について検討してまいります。
今後も、産業育成センターの活動を積極的に支援しながら、企業の競争力及び経営基盤の強化など、地場産業の活力再生に向け取り組んでまいります。
(力強い産業の集積)
新しい産業の創出については、産学官、産業支援機関及び試験研究機関等の連携体制を強化しながら、素材供給から加工、製品化、流通までを見据えた取り組みを総合的に展開してまいります。
企業誘致については、人、技術など地域資源を活かした多様で持続発展可能な業種の立地誘導を進めることで雇用の維持・拡大を図るとともに、既存進出企業の2次展開への積極的な支援や港湾活用型業種の立地誘導を推進いたします。
また、北里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所など海洋研究機関の立地という当市の優位性を活かした海洋産業やクリーンエネルギーなど低炭素型産業の創出をはじめ、産学官、異業種連携に資するコーディネート機能の充実強化を図りながら、活力みなぎる力強い産業の集積に努めてまいります。
(人材の育成)
こうした取り組みに加えて、これらの産業を支えるため、釜石市ものづくり人材育成懇談会を中心に、市内企業、学校、行政など市内の関係機関が一体となって次代を担う人づくりに関する様々な取り組みを展開しながら、鉄の歴史や現在の産業の状況など地域の再認識や、郷土への誇りと働くことを大切に思う意識の醸成を図り、未来の釜石を担う個性あふれる人材の育成に努めてまいります。
(2) 次代を支える農林水産業の振興
2つ目は、「次代を支える農林水産業の振興」であります。
良質で安心・安全な農畜産物・水産物の安定供給、及び効率的な施業の推進による森林資源の育成に努めるなど、農林水産業の振興を図る必要があります。
(水産業の振興)
当市の基幹的地場産業である水産業では、産業の総合的な振興のため、流通、加工も含めた全体を対象として、漁業資源の管理と回復や漁場環境の保全、漁村の活性化、そして、新鮮で安全な水産物を求める消費者ニーズに応える施策を進める必要がありますので、平成21年12月に策定した「釜石市水産振興ビジョン」をもとに、具体的な取り組みを進めてまいりたいと存じます。
沿岸漁業は、水産資源の減少、漁業者の高齢化など厳しい状況下にあることから、資源増大対策、釜石港湾口防波堤内の静穏水域を活用した増養殖の振興を進めるとともに、漁港の整備、漁業集落環境整備事業にも取り組んでまいります。
特にも、釜石港湾口防波堤の完成により形成された静穏水域の活用を図ることが課題となっており、泉浜地先に計画している新規漁場の整備並びに漁場環境に適合した増養殖試験に対し支援してまいります。
魚市場の移転整備については、23年3月には新浜町地区の荷さばき施設が完成する見込みであり、23年度には魚河岸地区の荷さばき施設の建設に着手する予定となっていることから、24年度中の全面供用開始に向け、水揚げ関連施設の整備を進めてまいります。
また、その供用開始を視野に、「魚のまち」の復活に向けて、水揚げと地域発進力の強化、地域ブランド化の推進及び前浜物を活用した新たな商品づくり等を進めてまいります。
(農林業の振興)
農業では、甲子地区産直施設の建設候補地の目処がついたことから、道の駅としての整備に向けて用地測量等各種調査を実施するとともに、地産地消や良質で安心・安全な農産物の供給体制整備を農業関係団体等関係者と協力して推進してまいります。
さらに、中山間地域対策として、補助金や交付金の活用により、農業経営指導、都市と農山漁村交流、そば栽培推進等の耕作放棄地対策などに引き続き取り組んでまいります。
畜産業では、補助事業による肉用牛の頭数確保を図り公共牧場を利用した繁殖経営を支援するほか、北里大学との包括連携協定に基づき、新たな肉用牛の肥育事業の市内牧場域への技術移転の可能性を探るなど、公共牧場の有効活用を進めてまいります。
林業では、昨年度から本格実施している緑のシステム創造事業をはじめ、国・県・森林組合等の関係機関との連携を密にして、事業交付金等を活用した間伐等の森林整備の促進、林内未利用資源の有効活用を進めてまいります。
(3) 次代につなぐ観光とにぎわいの拠点形成
3つ目は、「次代につなぐ観光とにぎわいの拠点形成」であります。
多様な観光ニーズに応じた個性ある地域づくりのため、海・山・川等の地域資源を活用したグリーン・ツーリズムの推進のほか、近代化産業遺産をはじめとする産業を視点とした体験型観光の展開など、市内観光地への滞留時間を延ばす工夫を取り入れた新たな釜石型観光の振興によるにぎわいづくりを進める必要があります。
(戦略的なにぎわいの創出)
そこでまず、商工会議所、観光物産協会等の関係団体で組織する「釜石まるごと活性化戦略懇談会」を立ち上げ、情報の共有を図るとともに、民間と行政でアイデアを出しあいながら、にぎわいの創出に向けた戦略の検討を進めております。
こうした中、平成22年度の観光客入込数は目標としていた100万人を突破し、中心市街地の青葉通り緑地では定期市のほか、音楽イベントの開催や当市に住む若者が結婚式を挙げるなど、地域の皆様が楽しめるにぎわいが生まれてきております。
今後とも、協働によるにぎわいの取り組みを戦略的に進めてまいります。
(釜石型観光の推進)
その中で、観光の振興については、四季の味覚まつりなど食を活かした既存のイベントとの連動、昨年盛況でありました全国虎舞フェスティバルの開催などとともに、スタンプラリーの実施や地域の自主的な取り組みへの支援など、年間を通じて全域での交流拡大を目指していきたいと考えております。
また、姉妹都市、友好都市等との積極的な交流物産展などで特産品のPRを進めてまいります。
なお、観光施設の老朽化が目立つことから適正な維持管理や改修に努め、釜石のイメージアップを図りながら「海を活かし、産業遺産を巡り、グリーン・ツーリズムの体験などを行える釜石型観光」を推進し、「観る、学ぶ、食べる、買う、遊ぶまち釜石」のイメージ発信に努めてまいります。
(商業の活性化)
それから、市民生活を支える商業の振興については、釜石商工会議所と連携・協力により、消費者ニーズに対応した魅力ある個店づくりや、経営改善に積極的に取り組む商業者を支援するとともに、各商店会と連携し商店街への誘客を促進する商店スタンプラリー事業を実施するほか、地域資源を活用したブランド化の推進、買物弱者に対応した商業施設の出店支援などにより、地域全般における商業の活性化を図ってまいります。
(世界遺産登録の推進)
最後に、橋野高炉跡の世界遺産登録については、当市は現在、「九州・山口の近代化産業遺産群」世界遺産登録推進協議会にオブザーバーとして参加しておりますが、新年度からは正式に加入できる見込みとなったことから、協議会構成自治体とのさらなる連携を図りながら、ユネスコ世界遺産への登録を目指し活動を進めてまいります。
加えて、橋野高炉跡を訪問した方々の利便を図るため、橋野高炉跡隣接地に史跡の概要や歴史の展示、休憩施設としての機能を持つ、インフォメーション施設を整備いたします。
また、姉妹都市である東海市の呼びかけにより始まった嚶鳴フォーラムは、ふるさとの先人を通して、21世紀のまちづくり、人づくりなどのありかたを探ることを目的とし、全国から12の自治体が参加しています。
平成23年度は、釜石市での開催が決定していることから、大島高任をメインテーマとして近代日本の礎を築いた先人の功績を学び、釜石が培ったものづくりの魂を今後のまちづくりにどのようにして生かしていくかを考え、全国に情報発信してまいります。
(4) すべての人の生涯にわたっての健康安心づくり
4つ目は、「すべての人の生涯にわたっての健康安心づくり」であります。
すべての人が生きがいや健康づくりを意識した生活ができるような支援サービスの充実や、超高齢社会がもたらす地域の福祉課題に対応した地域の新たな支えあいの創出に取り組む必要があります。
(保健の充実)
健康については、生活や活動の基本でありますので、引き続き、市民一人ひとりが「自分の健康」に関心を持ち、健康づくりの行動につながるよう、がん検診などの受診状況を管理する地域健康支援システムを更新して、健康相談、保健指導などの充実に取り組んでまいります。
また、疾病の予防、早期発見につなげるため、乳幼児の髄膜炎、肺炎を予防するヒブ、肺炎球菌ワクチンの接種、中学生などを対象とした子宮頸がんワクチンの接種を新たに実施するほか、がん検診の受診率向上を目指した取り組みを進めてまいります。
あわせて、乳幼児及び妊産婦の健康保持のため、乳児家庭、妊産婦訪問のほか、妊婦健康診査項目に、新たに子宮頸がん検診、多胎児を対象とした超音波検査の回数を増やすなどその充実を図り、子どもが健やかに生まれ育つための環境づくりに努めてまいります。
(医療の充実)
医療においては、県立釜石病院の充実、保健・医療・福祉・介護の連携ネットワークの構築や、地域医療を支えあう仕組みづくりを目指す地域医療再生計画を推進するため、県・大槌町・医師会等関係機関との連携をより一層図るとともに、引き続き、医療従事者の確保に向けた研修医の研修参加補助や奨学資金の貸付けなど、地域医療の充実に取り組んでまいります。
国民健康保険については、被保険者一人あたりの医療費が依然として高額に推移している状況にありますが、平成22年度に、加入者の負担軽減を図るため見直しした税率を23年度も据え置き、国保事業を運営することとしております。
現在、医療制度を取り巻く情勢は、後期高齢者医療制度の廃止、その後の国保事業の運営、国保の広域化等、大きく変化しようとしていますが、市といたしましても、これらの状況を的確にとらえ、適切に対処してまいります。
(福祉・介護の充実)
超高齢社会に対応し、持続可能な地域社会を実現するため、地域の皆様をはじめ、社会福祉協議会、民生児童委員協議会、社会福祉関係機関及びボランティア団体等と十分に協議を行い、互いに知恵を出しあいながら、地域福祉計画を策定し、行政だけでは解決できない地域の生活課題等に対し、地域の皆様が主体的に福祉活動を行うことができるよう、必要な基盤や条件整備に努め、地域での支えあいを高める取り組みを進めてまいります。
障がい者福祉については、障がい者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、在宅酸素療法患者に対する助成事業など、居宅サービスの充実に努めるとともに、グループホーム等の整備を促進することにより、地域での住まいの場の確保に取り組んでまいります。
あわせて、障がい者の就労や職場定着を支援するため、就業支援機関との連携を強化してまいります。
高齢者福祉については、高齢者が健康で生きがいのある生活を営めるよう、社会参加の促進や介護予防の推進などに努めてまいります。
特に、平成23年度には消防法の改正により6月から全ての住宅で火災警報器の設置が義務づけられることから、対応が困難な低所得の高齢者に対して火災警報器を設置する高齢者住宅用火災警報器給付事業を実施し、高齢者世帯の支援及び安全対策に努めてまいります。
また、地域包括支援センターによる高齢者の総合相談・虐待防止・成年後見制度の普及啓発・介護予防事業の推進、そして、専門職による見守り訪問活動、特に一人暮らし高齢者の支援活動や認知症高齢者対策に努めるとともに、保健・医療・福祉・介護の連携強化により、高齢者福祉のより一層の充実を図ってまいります。
介護保険については、社会保障制度としての持続性を高め、明るく活力ある高齢社会を築くために、健康づくり及び介護予防の強化に努めてまいります。
また、要介護認定者や認知症高齢者が増加している現状を踏まえ、第4期介護保険事業計画に基づく施設整備に加え、新たに第5期介護保険事業計画で行う施設整備を前倒しして、地域密着型サービス施設の整備を図り、慢性的な施設入所待機者の緩和に努めるとともに、適正な介護サービスが確保されるよう事業者の育成指導に努めてまいります。
さらに、23年度は、第5期介護保険事業計画の策定年度となりますが、この中では、要介護認定者の増加、さらには、介護給付費が増大している現状を踏まえ、質・量とも適正なサービスの確保が図られるよう、鋭意検討してまいります。
(5) 未来を託す子ども・子育て・若者支援
5つ目は、「未来を託す子ども・子育て・若者支援」であります。
すべての子どもが整った環境において保育・教育を受け、学び成長できる場所の整備と、地域社会全体で子育てを応援する意識の醸成を図る必要があります。
また、若者の交流や活動への支援、出会いの場の創出や自己能力の開発などの婚活への支援を行う必要があります。
(人と人との結びつき)
これまで、「生まれる喜び 育てる楽しさ 絆と笑顔あふれるまちづくり」を基本理念とする「えがお輝きプラン」に基づき、必要な施策を展開してまいりましたが、平成23年度においても結婚、出産、子育て、教育、自立というライフサイクルの各場面での切れ目のない支援を行ってまいります。
特にも、22年9月に、釜石市内の企業で働く概ね35歳までの男女が「くろがね・ぎゃざりんぐ・ぷれーす懇談会」を立ち上げておりますが、23年度は、夢や提言の実現に向け、行動する若者たちを支援してまいります。
また、特に反響の大きかった、保育所等同時入所第2子以降の保育料の無料化等や、「釜石市子育て応援カード(かまリンカード)事業」、不妊治療の助成など経済支援施策も継続してまいります。
引き続き、市民の皆様の声を取り入れながら「父親の子育て力向上推進事業」や、地域に定着しつつある、これまで手薄であった出会いや結婚といった分野の施策の強化としての「出会いの場創出事業」をさらに深めるための「婚活能力向上推進事業」など、親子の絆、家族の絆、地域の絆といった人と人との結びつきを大切にした取り組みを進めてまいります。
(児童福祉の充実)
次に、児童福祉についてになりますが、障がいのある子どもへの支援は、早期発見・早期療育はもちろんのこと、教育、福祉、保健、医療、就労の各関係機関が横の連携を図りながら、就学前、就学中、卒業後と途切れずに連続することが非常に大切ですが、これまでそうした体制は整っておりませんでした。
そのため、専門職員を配置した発達支援室を設置し関係機関との連携調整を行いながら早期発見、療育へとつなぐ体制をつくり、特別支援が必要な子どもとその家族へ、子どもの成長に応じた一貫した支援を行ってまいります。
また、栗橋地域の共働き家庭等の仕事と子育ての両立支援を図るため、栗林児童館内に学童育成クラブを設置いたします。
これにより、市内全小学校区に学童育成クラブが設置されたことになりますが、引き続き、児童の健全育成を図る観点から「生活の場」としての質の向上に努めてまいります。
(6) 地域コミュニティの強化
6つ目は、「地域コミュニティの強化」であります。
生活応援センターと地域が連携した取り組みや地域会議を中心とする活動への支援などにより、住み慣れた地域で安心して暮らせる環境づくりを進める必要があります。
(見守りの推進)
そこで、最近問題となっている孤立死等を少しでも減らし、地域の中で安心して生活できるよう、見守りを必要とするすべての市民を対象に新たな取り組みとして、地域で支える見守りネットワーク推進事業を実施いたします。
生活応援センターを拠点に専任の職員を配置するとともに、それぞれの地域で活躍している民生委員をはじめ各種団体の皆様が情報交換し、支援が必要な場合、センターから行政の担当課や関係機関などにつなげる取り組みを進めます。
この取り組みのモデルとして、去る1月28日、小佐野地区生活応援センターに「小佐野地区見守りネットワーク会議」を立ち上げました。
今後、小佐野地区の取り組みを検証しながら、他のセンターにも順次、ネットワークを整備してまいります。
(日常生活の足の確保)
また、通学、通院、買い物等市民の日常生活の足を確保するため、新たな公共交通体系を構築・整備することとし、平成23年度は法定協議会を設置し、公共交通計画を策定いたします。
これと並行して、バス運行の試行事業として、かまいしまるごと循環バス運行事業と地域自立型デマンド交通等運行モデル事業を実施し、公共交通の利用促進を図りながら、試行事業の評価を計画に反映させてまいります。
(循環型社会・低炭素社会の構築)
廃棄物処理については、3市2町で構成する、岩手沿岸南部広域環境組合が事業主体となり、一昨年5月から「岩手沿岸南部クリーンセンター」の建設を進めてきたところでありますが、現在、炉の性能検査などの試験運転を行っており、本年4月1日には、沿岸南部地区の広域ごみ処理施設として供用開始する運びとなっております。
これにより、当市の清掃工場については、昨年12月でごみの受入れを終了し、去る1月18日に操業を停止したところであります。
今後、当市のごみ処理については、岩手沿岸南部クリーンセンターに委ねることになりますが、引き続き、ごみの減量とリサイクルの取り組みを推進しながら、岩手沿岸南部広域環境組合及び構成市町と連携し、循環型地域社会の構築に努めてまいります。
また、豊かな自然環境を後世に伝えていくため、市民や行政だけではなく、事業者や各種団体等と一体となった積極的な実践活動が強く求められております。
このことから、各種の自然観察会や環境学習など、身近な自然環境とふれあう場を提供すると同時に、環境保全活動の実践意欲を醸成し、「恵みの環境」を次世代に継承するとともに、太陽光などの新エネルギーの活用や、高効率給湯設備などの省エネルギー設備機器の導入支援など、地域に根差したエネルギーの有効的な活用や効率的な利用を促進し、低炭素社会の構築にも努めてまいります。
(情報化の推進)
情報化については、市街地と周辺地域の情報通信格差を是正するため、平成22年度に実施した「地域情報通信基盤整備推進事業」により、地上デジタルテレビ放送の難視聴解消、防災行政無線の不感地域の一部解消及び超高速インターネット通信環境の実現を図りました。
この事業により、市内全域が三陸ブロードネットのサービス提供エリアになったことから、三陸ブロードネットの自主放送、市政番組、及びデータ放送を充実させることにより、市民に対し、災害情報などの緊急情報はもとより、市政情報、暮らしの情報など、市内の様々な情報を的確に提供してまいります。
また、三陸ブロードネットに移行する共聴組合のうち零細な組合については、不要となった共聴施設を解体する資金が準備できないおそれがあることから、国庫補助事業、NHK助成金を活用し、共聴施設の撤去費用についてその全額を補助することにより対象地域住民の負担を軽減し、円滑な移行を図ってまいります。
(7) 安全なまちづくりの推進
7つ目は、「安全なまちづくりの推進」であります。
防災意識の醸成や防災機能の充実、消防力の整備、危機管理体制の強化など、災害に強いまちづくりを進める必要があります。
(防災体制の強化)
近い将来の発生が確実視されている宮城県沖地震とそれに伴う津波では、大きな被害が予想されているところであり、また、山と海に囲まれた狭隘な地形のため土砂災害の発生も懸念され、こうした自然災害に備えた地域防災力の充実強化が喫緊の課題であります。
学校や地域においては、防災教育や自主的な防災への取り組みも始まっておりますが、一層の防災知識の普及啓発に取り組み、市民一人ひとりの防災意識の醸成に努めるとともに、自主防災組織の未整備地区での結成を促進し、育成を支援してまいります。
あわせて、防災機能の充実を図るため、避難施設への防災資機材、備蓄品の整備や避難場所の改善を計画的に行ってまいります。
また、津波とともに課題となっている土砂災害については、住民の参加により順次、地域ごとの土砂災害・洪水防災マップを作成し、警戒避難対策を講じてまいります。
本年9月には当市を会場に岩手県総合防災訓練を実施することとしておりますが、大規模災害時に迅速かつ的確な応急活動ができるよう、災害本部体制及び防災関係機関相互の連携を確認するなど、今後のより一層の危機管理体制の強化に向けた機会としたいと考えております。
消防防災については、消防団をはじめ町内会や自主防災組織等との連携を図りながら、市民の防火意識を高め、火災発生の防止に努めてまいります。
消防力の強化については、消防団員の確保に努めるとともに、消防屯所や資機材の整備を年次計画により順次整備してまいります。
(8) 楽しく学ぶ環境づくり
8つ目は、「楽しく学ぶ環境づくり」であります。
就学前教育の充実を図るための教育・保育課程の改善や学校施設の耐震化などの環境整備に努め、誰もがいつでもどこでも楽しく学ぶことができる環境づくりを進め、確かな学力の定着と向上を図り、次代を担う子どもたちを育成する必要があります。
(ものづくり精神の継承)
そこで、釜石に脈々と受け継がれている「ものづくり精神」を継承し、子どもたちが釜石に誇りと夢、そして希望をもって社会に貢献できるようになることを目指してまいります。
そのために、ものづくりに関係する関係機関の皆様との情報共有とご協力を得ながら、小学校では、将来への夢やあこがれ、努力する態度の育成、中学校では、興味関心に基づいた職場体験学習やボランティア活動を通した自己理解等、各学校で行っているキャリア教育の充実に努めてまいります。
(就学前教育の充実)
また、就学前教育の充実については、「新しい時代をたくましく生きる心豊かな子どもの育成」を基本理念とする釜石市幼児教育振興計画を策定したところですが、平成23年度がこの計画の初年度となります。
子ども達がどの地域に生まれ、どこの幼稚園や保育所などを利用しても、質の高い保育や教育が受けられることを目指し策定した計画で、23年度は、教職員の合同研修会のほか、子ども広場や森の幼稚園の開催により、豊かな感性と生きる力の基礎が育めるような体験の場を提供してまいります。
あわせて、親と子が共に育つという視点を持ちながら、それぞれの施設と一緒に、保育内容や教育内容の充実に取り組んでまいります。
さらに、新たに「子ども課」を設置し、少子化対策と子どもにかかわる業務を集約して機能性を高め、市民の方々にわかりやすく利用しやすい窓口とするとともに、幼児教育や子育て支援・次世代育成支援を充実してまいります。
(9) いきいきスポーツ交流の展開
9つ目は、「いきいきスポーツ交流の展開」であります。
岩手国体の受入態勢づくりや市民が気軽にスポーツに親しむ環境づくり、各種スポーツ大会や合宿の誘致など、当市が持っているスポーツ環境の特性を活かした、スポーツ交流人口の拡大に努める必要があります。
(岩手国体への対応)
そのため、平成28年度に開催される岩手国体に際しては、1人でも多くの選手を輩出し、そして活躍することができるよう、釜石市体育協会や各種競技団体、各学校と協力しあいながら、選手の育成強化に取り組むと同時に、ラグビーフットボール競技の会場として、釜石市陸上競技場の整備を進めてまいります。
次に、都市基盤の整備についての取り組みであります。
(1) 高規格幹線道路の整備
第1に、東北横断自動車道釜石秋田線や、三陸縦貫自動車道の早期完成に向けた取り組みを推進する「高規格幹線道路の整備」であります。
(高規格幹線道路の早期整備)
東北横断自動車道釜石秋田線釜石花巻間については、東北横断自動車道釜石秋田線沿線市町連絡協議会と、東北横断自動車道釜石秋田線釜石花巻間建設促進期成同盟会を中心に、構成市町と連携を図りながら、釜石遠野間の整備促進に向けた取り組みを進めてまいります。
一方、三陸縦貫自動車道については、来る3月5日、釜石山田道路の先行整備区間である水海片岸間が、関係各位のご尽力により、おかげさまをもちまして開通する運びとなりました。
今後はさらに、大船渡釜石間の早期事業化に向けた取り組みを進めてまいります。
なお、新町接続計画については、勉強会や戸別訪問などによって、引き続き住民の皆様との対話を重ねており、今後も関係機関との連携を図りながら、早期整備に向けて取り組んでまいります。
幹線道路はつながって初めてその効果を発揮するとの認識のもと、「生きるための道路」の整備に向け、沿線市町村や関係団体とともに積極的な運動を展開してまいります。
(2) 釜石港の高度化
第2に、海陸の結節点として、さらなる物流機能の拡充を図るための「釜石港の高度化」であります。
(釜石港の高度利用)
港湾機能の利便性に優れ、流通拠点化が図られた地域は、地域産業経済活動が躍動するとともに企業誘導の機会も促進され、雇用の場が創出されるほか、商業振興、地域福祉向上など様々な波及効果が期待されます。
このようなことから、市民生活にとっても、釜石港の高度利用は非常に重要な位置づけにあります。
したがいまして、私は強い使命感を持って、内航フィーダーコンテナ定期航路の開設に向け、荷主や商社などに積極的なポートセールスを展開し貨物の集荷に努め、一刻も早い定期化に取り組んでまいります。
さらに、県内唯一の完成自動車取扱港である釜石港のさらなる利用拡大に向け、東北地区における自動車産業の新たな展開を視野に入れながら、関係企業へのトップセールスを行うなど積極的に取り組んでまいります。
(3) 生活関連基盤施設の整備
第3に、快適な生活を支える住宅、上下水道、道路などの整備を進め、生活環境の向上を図る「生活関連基盤施設の整備」であります。
(住環境の整備)
居住環境の整備に関しましては、子育て支援及び定住促進の推進、市営住宅の代替等の多様な住宅ニーズに応えるため、雇用促進住宅の一部を購入し利活用を図ります。
住宅の防災環境については、現在行なっている、木造住宅耐震診断事業、木造住宅耐震補強工事助成事業、がけ地近接等危険住宅移転事業及び住宅バリアフリー化等改修工事助成事業に加え、平成22年度に新たに創設した宅地安全促進事業を含め継続実施し、災害に強い、やさしい住環境づくりを推進してまいります。
(上下水道の整備)
水道事業については、簡易水道統合整備事業や老朽施設の改修、老朽配水管の更新などを引き続き実施し、「安全でおいしい水」の安定供給を図ってまいります。
公共下水道事業では、汚水処理実施計画に基づき、汚水処理区域の拡大をはじめ、汚水の安定処理、既存の施設や下水道管の更生事業、合流式下水道の改善等を円滑に推進するとともに、下水道施設の整備が見込まれない地域においても家庭雑排水による水質汚濁の防止は喫緊の課題であることから、合併処理浄化槽の設置費用の助成を拡充し、設置を促進するなど、快適で安全な生活環境の実現に取り組んでまいります。
(防災基盤の整備)
防災基盤では、急傾斜地崩壊防止施設や砂防施設等の整備促進のほか、土砂災害防止法に伴う危険区域の周知と指定を進めるとともに、災害時における速やかな対応をしてまいります。
また、大雨等による冠水や浸水被害を解消するための河川改修事業を実施してまいります。
市道については、社会資本整備総合交付金を活用して、道路災害防除事業を実施するほか、地域会議から要望の多い側溝や舗装の改修事業などを実施してまいります。
(4) 効果的な土地利用の推進
第4に、学校跡地などの公共用地の有効活用を図り、都市機能の向上に努める「効果的な土地利用の推進」であります。
(土地利用の基本方針)
当市は、人口減などから都市機能や都市構造が縮小傾向にあります。
このため、土地の活用においても、外延的拡大、あるいは量的な拡大傾向から既成市街地における機能集約などで再利用を図る取り組みが目立ってきており、土地利用上の機能性や有効性、効率性の向上を図ることが重視されるようになってきています。
当市はこれまで、自然空間を活用して農林漁業と鉄鋼業とが共存しながら発展し、土地利用もこれら産業の動向を中心とする都市形成の下で利用が進められ今日に至っております。
今後の土地の利用にあたっては、現状の利用動向や当市の将来動向を踏まえるとともに、自然環境との共生を図りながら、生産及び生活の均衡ある発展を具体化する上でも、調和のとれた土地利用を進めてまいります。
なお、市庁舎や消防庁舎の移転新築など公共施設の再配置については、結論を先送りして後世の負担とすることのないよう、早期に決断してまいります。
(魚河岸地区の整備)
魚河岸地区においては、釜石湾全体を視野に入れた「海と緑の交流拠点」を形成する取り組みを進めており、海と市街地を結ぶ核となる釜石漁港魚河岸地区にぎわいゾーンの整備計画に基づき、海と港と魚の魅力を活かしたまちづくりを進めてまいります。
4 基本構想の着実な推進
(構想の推進)
最後に、基本構想を着実に前進させるため、次の3点を構想推進の基本的な考え方として設定したいと考えております。
ここからは、その主な取り組みについてふれてまいります。
(1) 市民みんなが主役として輝くまちづくり
第1点は、「市民みんなが主役として輝くまちづくり」であります。
生活応援センターと地域会議により地域力の向上を図るとともに、市民と行政が協働して、自分たちのまちに希望を持ち、自分たちでできることを考え、行動する必要があります。
(協働の推進)
地域会議については、地域の町内会をはじめ各種団体の代表者が新しい地域会議というテーブルで、地域の課題解決やまちづくりについて、真剣な意見交換が行われるようになったことなどの成果がありますが、一方では、地域会議の活動が構成メンバー中心であり、地域住民に知られていないなどの課題もございます。
そこで、生活応援センターだよりを利用して地域会議の活動を地域住民に周知するなど情報発信に力を入れるとともに、広く地域住民の参加を得た活動が展開できるよう支援し、その活動を通じて地域課題の解決に向けた協働の取り組みを推進してまいります。
また、こうした活動の中で市民の気運を盛り上げ、地域会議の自主運営に関する協議や「協働指針」の策定の検討を進めてまいります。
(男女共同参画社会の形成)
加えて、男女が互いにその人権を尊重しつつ、その個性と能力を十分に発揮することができる社会の実現を目指し、当市における男女共同参画社会形成の推進役となる人材を育成するほか、男女それぞれの特性を理解することが、お互いの人権を尊重する上で大切な一歩となることから、子どもたちが等しく正しい知識を取得できるよう支援いたします。
(2) 釜石らしさの創造と広域連携によるまちづくり
第2点は、「釜石らしさの創造と広域連携によるまちづくり」であります。
魅力ある地域づくりを目指した、釜石らしさを新たな価値として創り出していくまちづくりと、定住自立圏構想を含めた広域的な連携による施策への取り組みを進める必要があります。
(釜石らしさの創造)
まず、釜石らしさとは、釜石にある風土や釜石に住む人の特徴がよく活かされていることを表すものと考えます。
そこで、釜石らしさの創造として、これまで述べてきましたように、釜石型の産業集積、釜石型の観光振興、釜石型の地域づくりなど、地域の資源や特性を活かしたまちづくりに取り組みます。
(交流と連携の推進)
その上で、周辺市町村の共通課題、あるいは行政区域をまたがる課題については、関係する市町村が連携して対処するほうが効果的であることから、そのような課題への広域連携での対応を探るとともに、生活圏や経済圏が同一で、共通する課題が多い大槌町との定住自立圏構想の推進に向けての協議を引き続き進めてまいります。
また、釜石はまゆり会や釜石応援ふるさと大使等の当市にゆかりのある人材の活用とネットワークの拡充に努めるとともに、中国莱州市との友好都市締結に向けた協議をはじめ国内外の都市との友好交流の輪の拡大を図ってまいります。
(3) 戦略的な組織体制と健全な財政基盤によるまちづくり
第3点は、「戦略的な組織体制と健全な財政基盤によるまちづくり」であります。
効率的で効果的な市政運営に向け、部局を横断する戦略的な組織体制を充実するとともに、健全な財政基盤の確立に努めるなど、行政改革を推進する必要があります。
(行政改革)
そのため、新たに策定した行政改革大綱に基づき、「市民と行政の協働によるまちづくり」「職員の意識改革」「定数管理の適正化」「健全な財政基盤の確立」の4つを柱として、行政改革にあたってまいります。
なお、多様な市民ニーズや新たな行政課題に迅速に対応できる戦略的な組織とするため、4月からの組織機構を見直したいと存じます。
主な見直し点としては、「子ども課」及び「発達支援室」の新設、総合政策課への未来創造係の新設であります。
これにより、市民目線を重視した組織とし、市民の利便性と安心感の向上を図ってまいります。
(財政運営)
また、当市では、人口減が続く中で地域経済と雇用の情勢が一層厳しさを増し、多くの市民が、釜石に活力を呼び起こす施策や安心して希望をもって暮らすことのできるまちづくりを強く求めています。
税収の伸び悩みや高齢化に伴う行政コストの増大により、財政運営は厳しい見通しにあるものの、平成23年度は第六次総合計画の初年度として、これまでの成果と反省を基に新たな施策展開を図る重要な年にあたることから、市民の声に改めて耳を傾け、財政環境を踏まえて、私自身が戦略的な施策立案とその実践の先頭に立ち、基本構想の実現に向けた市の姿勢と意気込みを示すべく、積極的な予算を編成することといたしました。
その結果、一般会計予算額は前年比9億58百万円・5.9%増となる172億円で、4年ぶりに170億円台を回復し、全会計の合算では28億84百万円・10.1%増となる313億78百万円余の予算規模となったところであります。
特にも計画初年度として、基本構想の重点施策に沿って、(1)地域の活力再生と雇用の創出、(2)特色ある観光とにぎわいの創出、(3)子育て支援と健康安心づくり、(4)コミュニティの充実と安全快適なまちづくり、そして、(5)学びの環境づくりとスポーツの振興、に重点的に予算を配分し、大型事業こそ少ないものの、今後につながる政策をきめ細やかに計上したところであります。
編成過程においては、引き続き職員採用を抑制し人件費の圧縮を図る一方で、税収の回復の遅れ等に伴い財政調整基金を2億9千万円余取り崩したものの、前年度補正予算において可能な限りの積立を行うことにより前年同時期を上回る基金残高を確保したほか、財政措置の有利な過疎債を新たに5億円余発行し、市債発行総額は元金償還額以内に留めるなど、財政健全化にも意を注いだところです。
24年度以降は、社会保障関係費のさらなる増加が見込まれるほか、各会計の公債費が増加傾向にあるため、財源確保が年々困難となることは確実な状況ですが、新行政改革大綱に掲げる「健全な財政基盤の確立」を徹底するため、事業の選択と集中並びに不断の行財政改革に取り組み、財政に対する市民の負託に確実に応えてまいりたいと存じます。
5 むすび
当市にもゆかりのある、作家の故井上ひさし先生の言葉に、「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、ゆかいなことをいっそうゆかいに」というものがございます。
これは、劇団「こまつ座」の機関誌「the座」に寄せた先生の文章の一節だそうですが、その道を究めた方だからこそ、こういう言葉が言えるのだと感心いたします。
背景からみて、劇団のあり方、あるいは戯曲を書く際の心構えを述べたものだと思われますが、行政はもちろんのこと、いろいろな世界に通ずる至言であります。
人は、いろいろなできごとに遭遇しながら、また喜びや楽しみ、苦悩や恐怖など、様々な感情を抱きながら生きています。
こうした喜怒哀楽を大切にしながら、それを乗り越え昇華して豊かな人生を楽しむ。
私が考えるに、先生の言葉はこのことを言い表しており、どんなに苦悩に満ちた人生であっても、それを乗り越えて客観的に見つめ直し、そこに人間性や人生の価値を見出していくべきであるという考えが「ゆかいに」という言葉に表現されているのではないでしょうか。
笑いと涙が一体となった、非常に奥深い意味を感じます。
先日、ある高齢者とお話しする機会がありました。
この方は夫に先立たれ、今は一人暮らしということで、週2回高齢者の集まりに参加し、仲間との会話を楽しんでいるものの、それ以外は誰とも口を利くことがなく寂しさを感じると同時に、将来への不安を覚えると話されておりました。
この方のほかにも、職がなくて困っている若者、子育ての悩みを相談する人が周囲におらず戸惑っているお母さんなど、人それぞれが悩みを抱えて生きています。
このような寂しさや苦しさといった市民の生活状況や感じていることに目を向け、気を配り、その思いを共感・共有しながら、少しでも悩みを解決できるようお手伝いすることで、市民一人ひとりにこの地域に住んでよかったと思えるような豊かな人生を送っていただきたい。
これまで私は、「市民にやさしさを」を基本姿勢の1つとして市政にあたってまいりましたが、先生の言葉の意味を考え理解しないと本当の意味でのやさしい政治はできないものと考えます。
改めて言葉の意味を噛み締め、肝に銘じて市政運営を行ってまいりたいと存じます。
当市は、全国の地方都市の中にあって、人口減少をはじめ、少子高齢化、産業構造の再編に伴う地域経済の縮小など、大きな社会変化を先取りする形で経験してきました。
ゆえに「地方都市の縮図」とも称され、他の地方都市に先駆けて、これから訪れるであろう領域の課題に挑んできました。
このことから、このような当市の先駆的な挑戦は、これから人口減少や少子高齢化という時代を迎える他都市の新たな希望づくりにつながるものと考えます。
時代の先端を歩むまちの新たな希望づくりへの挑戦、すなわち未来創造都市の実現に向け、本当の意味でのやさしさとして「難しいことをわかりやすく伝え、深く考え、誠実に」仕事に取り組み、市民が心豊かに「ゆかいに」暮らせるまちを目指して、市民の皆様と手を携え、ともにまい進してまいりたいと存じます。
平成23年度を未来に向けての確かな第一歩とすべく、全力で市政運営にあたってまいりますので、議員各位のより一層のご理解、ご協力と、市民一人ひとりが、市民みんなが主役として輝くまちづくりの担い手となりますよう心からお願い申し上げまして、私の所信表明といたします。




