第7期釜石市障がい福祉計画・第3期釜石市障がい児福祉計画 第1章 計画の基本的な考え方 1 策定の趣旨 障がいのある人や障がいのある子どもが、自立した日常生活や社会生活を営むことができる社会の実現を目指し、平成18年に「障害者自立支援法」が施行されました。その後、障害者自立支援法は、さまざまな制度改正を経て平成25年4月より「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下、「障害者総合支援法」という。)と名称を変え、障がいのある人や障がいのある子どもの社会生活向上を目指してきました。 この障害者総合支援法では、地域社会における共生の実現に向け、障がい福祉サービスの充実等、障がいのある人の日常生活及び社会生活を総合的に支援することが目的とされており、これまで、制度の谷間となっていた難病患者への支援提供や、知的障がい及び精神障がいにおける障がい支援区分の適切な配慮などの改正が行われました。 このような動きの中で、障がいのある人が地域でいきいきと安心して暮らしていけるよう、障がいのある人の社会参加の機会の確保や、共生社会の実現など、障がいのある人を個人として尊重する社会のあり方がより強く求められるようになっています。 市町村が定める「障害福祉計画」は、障害者総合支援法第88条に基づき、国の基本指針に即して、障がい福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に関して、数値目標、サービス見込量及びサービス見込量確保のための方策を定めるものです。 当市の障害福祉計画は、平成18年度から20年度を計画期間とする「第1期釜石市障害福祉計画」から3年ごとに策定し、障がい福祉サービス提供基盤の整備を行ってきました。平成30年度から施行された改正児童福祉法に基づき、第5期計画以降は、児童福祉法第33条の20第1項に規定する「市町村障害児福祉計画」を包摂した計画として策定しています。現在の令和3年度から令和5年度を計画期間とする「第6期釜石市障がい福祉計画」は、「第2期釜石市障がい児福祉計画」を包摂しており、障がい児通所支援等の円滑な実施を確保するための仕組みを整備しました。 この第7期釜石市障がい福祉計画(第3期釜石市障がい児福祉計画)は、前期計画の数値目標に対する進捗状況や、各年度における障がい福祉サービスの実績を踏まえ、令和8年度を最終年次とした数値目標、障がい福祉サービスの見込量を設定し、障がい者及び障がい児に対する障がい福祉施策の一層の充実を図るために策定するものです。 2 計画の位置づけ 第7期釜石市障がい福祉計画(第3期釜石市障がい児福祉計画)は、障害者総合支援法第88条第1項に規定する「市町村障害福祉計画」及び児童福祉法第33条の20第1項に規定する「市町村障害児福祉計画」として策定するものであり、計画の最終年度である令和8年度の目標及び障がい福祉サービス等の見込量などについて定めたものです。 また、この計画は、厚生労働省の示した「障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針」(平成十八年厚生労働省告示第三百九十五号、以下、「基本指針」という。)に即して策定しました。 さらに、障害者基本法第11条第3項の規定に基づき、市町村障害者計画として平成28年3月に策定した「第3次釜石市障がい者福祉計画」の実施計画的な位置付けの計画となります。 3 計画の期間 国の基本指針では計画期間を3年としており、これに即して障がい福祉計画は3年ごとに作成しています。第7期計画は令和6年度から令和8年度までの3カ年が計画期間となります。 4 計画の基本理念 本計画は、第3次釜石市障がい者福祉計画の基本理念の下、基本目標である「地域で安心して生活できる支援体制づくり」「自立し、生きがいを持って生活できる環境づくり」「ともに支え合って生活できる社会づくり」の3つを踏まえながら、国が示す7点に配慮した計画とします。  (1)基本目標  @地域で安心して生活できる支援体制づくり その人の置かれている状況にあった、適切な支援を行っていくために必要な情報提供と相談支援に取り組み、権利擁護の視点に立って積極的に働きかけを行っていきます。 また、保健・医療・福祉分野の連携を強化し、障がいのある人が安心して地域で生活できる体制づくりを推進します。       A自立し、生きがいを持って生活できる環境づくり 障がいのある人が、「自分らしい暮らし」の実現に取り組んでいくためには、社会参加するために必要な学習、体験、療育等の機会の提供とともに、それらの成果を生かすための支援を行っていくことが不可欠です。 生涯を通じた発達支援、就労支援、生活支援を効果的、継続的に行い保健、医療、福祉、教育、就労等のさまざまな分野の機関が連携することで、障がいの種別や程度に関わらず一生涯を通じて社会参加できるよう共生の仕組みを構築していきます。 Bともに支え合って生活できる社会づくり 障がいのあるなしにかかわらず、誰もが心地よく暮らせるまちをつくっていくためには、お互いの人権を尊重し、支え合いながらまちづくりを進めていく必要があります。障がいを「特別なもの」と考えるのではなく、共に生きる「地域の一員」としてみんなが理解し合い、支え合って暮らせる地域づくりに向け、障がいの理解啓発・広報の推進、生活環境の整備、情報の提供やコミュニケーションの強化、災害・緊急時の対策の充実を図ります。 (2)配慮すべき事項  @障がい者等の自己決定の尊重と意思決定の支援 ノーマライゼーションの理念のもと、障がいの種別・程度を問わず、障がい者(児)が自らその居住する場所を選択し、その必要とする障がい福祉サービスやその他の支援を受けつつ、障がい者(児)の自立と社会参加の実現を図っていくことを基本として、障がい福祉サービス等及び障がい児通所支援等の提供体制の整備を推進します。 A障がい種別によらない一元的な障がい福祉サービスの実施 身体障がい者、知的障がい者、発達障がい及び高次脳機能障がいを含む精神障がい者、難病のある方についても障がいの種別・程度を問わず、格差のない福祉サービスの充実を図ります。 B入所等から地域生活への移行、地域生活の継続の支援、就労支援等の課題に対応したサービス提供体制の整備 障がい者の自立の観点から、地域生活への移行や就労支援といった課題に対応したサービス提供基盤を整えるとともに、障がい者の生活を地域で支えるシステムを実現するため、身近な地域における関係団体等(社会福祉法人、NPO法人等)による支援など、地域の社会資源を最大限に活用し、サービス提供体制の整備を推進します。 C地域共生社会の実現に向けた取り組み 地域の住民が「支え手」と「受け手」に分かれるのではなく、地域、暮らし、生きがいをともに創り、高め合うことができる地域共生社会の実現に向けた仕組みづくりや、専門的な支援を必要とする方に対して、各分野が共通の理解に基づき協働する包括的な支援体制の構築を進めます。 D障がい児の健やかな育成のための発達支援 乳幼児及びその家族に対し、育ちに心配のある段階から身近な地域で支援できるように、質の高い専門的な発達支援を行う障害児通所支援等の充実と、地域の保健、医療、障がい福祉、保育、教育、就労支援等の関係機関が連携を図り、ライフステージに沿って切れ目のない一貫した支援を提供する体制の構築を図ります。 さらに、地域の保育、療育、教育を受けられるようにすることで、すべての子どもがともに成長できるよう、地域社会への参加や包容(インクルージョン)を推進します。 E障がい福祉人材の確保・定着 障がい者の重度化・高齢化が進む中においても、将来にわたって安定的に障がい福祉サービス等を提供していくためには、提供体制の確保と併せてサービスを担う人材を確保していく必要があります。専門性を高めるための研修の実施、多職種間の連携の推進及び活性化により、福祉従事者の方にとって働きがいのある魅力ある職場環境を作り、定着を図ります。 F障がい者の社会参加を支える取組定着 障がいへの理解促進及び普及啓発活動や、障がいのある人が社会参加するうえでの相談機関の設置等の重層的な支援体制を確立し、障がいのある人と障がいのない人が互いに個人の権利を尊重し合いながら心豊かに社会で生活することができる地域づくりを推進します。 5 第7期障がい福祉計画の基本的施策 次の7点を基本的施策とし成果目標をかかげて取り組みます。 @福祉施設の入所者の地域生活への移行 ・地域生活移行者の増加 ・施設入所者の削減 A精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築 ・保健、医療、福祉関係者による協議の場の活動推進 ・精神障がいのある人の地域移行に関する障がい福祉サービスの利用推進 B地域生活支援の充実 ・地域生活支援拠点等の運用状況の検証 ・強度行動障がいを有する障がい者の状況や支援ニーズの把握 C福祉施設から一般就労への移行等 ・福祉施設利用者の一般就労への移行者の増加 D障がい児支援の提供体制の整備等 ・児童発達支援センターの設置 ・保育所等訪問支援を利用できる体制の構築 ・重症心身障がい児を支援する児童発達支援事業所及び放課後等デイサービス事業所の確保 ・医療的ケア児支援のための関係機関等の協議の場の設置 ・医療的ケア児に関するコーディネーターの配置 E相談支援体制の充実・強化等 ・基幹相談支援センターの設置 ・協議会における個別事例検討を通じた地域サービス基盤の開発・改善 F障がい福祉サービス等の質を向上させるための取組に係る体制の構築 ・障がい福祉サービス等に係る各種研修の活用 6 障害者総合支援法・児童福祉法に基づく障がい福祉サービスの体系 障害者総合支援法に基づく障がい福祉サービスの体系は、「自立支援給付(介護給付、訓練等給付、補装具費の支給、自立支援医療、相談支援)」と「地域生活支援事業」で構成されます。 また、市町村で実施している児童福祉法に基づくサービスは障がい児通所支援(児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援、障がい児相談支援)があります。障がいのある子どもの施設入所については、都道府県が実施しています。 【障害者総合支援法に基づくサービス体系の概要】 ●自立支援給付 介護給付 居宅介護(ホームヘルプ、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、短期入所(ショートステイ)、療養介護、生活介護、施設入所支援 訓練等給付 自立訓練(機能・生活)、就労移行支援、就労継続支援(A・B型)、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助(グループホーム) 相談支援 計画相談支援、地域移行支援、地域定着支援 自立支援医療 更生医療、育成医療、精神通院医療 補装具費の支給 ●地域生活支援事業 必須事業 理解促進研修・啓発、自発的活動支援、相談支援、成年後見制度利用支援、成年後見制度法人後見支援、意思疎通支援、日常生活用具給付、手話奉仕員養成研修、移動支援、地域活動支援センター 任意事業 訪問入浴サービス、生活訓練等、日中一時支援、レクリエーション活動等支援、その他市町村が任意で実施する事業 児童福祉法に基づくサービス体系の概要】 障がい児通所支援 児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援 相談支援 障がい児相談支援 (1)自立支援給付の概要 訪問系サービス 居宅介護(ホームヘルプ) 自宅で、入浴、排泄、食事など生活全般にわたる介護を行います。 重度訪問介護 重度の肢体不自由者や、重度の知的・精神障がい者で行動障がいがあり、常に介護を必要とする人に、入浴や排泄、食事の介護、外出時における移動支援などを総合的に行います。 同行援護 視覚障がいにより移動が著しく困難な人の外出時に同行し、必要な情報提供や介護を行います。 行動援護 知的障がいまたは精神障がいにより行動する際に生じる危険を回避するために必要な援助や外出支援を行います。 重度障害者等包括支援 介護の必要性がとても高い人に、居宅介護など複数のサービスを包括的に行います。 日中活動系サービス 短期入所(ショートステイ) 家族など家で介護する人が病気などの場合に、短期間、夜間も含め施設で入浴、排泄、食事の介護などを行います。 療養介護 医療と常時介護を必要とする人に、医療機関で機能訓練や療養上の管理、看護、介護及び日常生活の援助を行います。 生活介護 常に介護を必要とする人に、日中、施設で入浴や排泄、食事の介護などを行い、創作的活動や生産活動の機会を提供します。 居住支援系サービス 自立生活援助 障害者支援施設やグループホームなどから一人暮らしへの移行を希望する人に、一定期間、定期的な訪問や支援を行います。 共同生活援助(グループホーム) 夜間や休日、複数人で共同生活を行う住居で、相談や入浴、排泄、食事などの生活全般の支援を行います。 施設入所支援 施設に入所している人に、夜間や休日に、入浴、排泄、食事の介護などを行います。 訓練・就労系サービス 自立訓練(機能訓練) 身体障がいのある人が自立した日常生活や社会生活ができるよう、一定期間、身体機能の向上のために必要な訓練を行います。 自立訓練(生活訓練) 知的障がい又は精神障がいのある人が地域生活を営むための支援計画に基づき、生活能力の向上に必要な訓練を行います。 宿泊型自立訓練 居室などの設備を利用しながら、家事などの生活能力の維持・向上のための支援、相談・助言など必要な支援を行い、地域生活への移行に向けた関係機関との連絡調整を行います。 就労移行支援 一般企業などへの就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のための訓練を行います。 就労継続支援(A型) 一般企業などでの就労が困難な人に、雇用契約に基づく就労の機会を提供し、知識及び能力の向上のための訓練を行います。 就労継続支援(B型) 障がい、年齢、体力などの理由から雇用契約による就労が困難な人に一定の賃金水準での就労や生産活動の機会を提供し、知識及び能力の向上を図る支援を行います。 就労定着支援 一般就労に移行した人に、新たに雇用された事業所での就労継続を図るため、事業所や医療、その他の関係機関との連絡調整や雇用に伴う日常生活や社会生活上の相談や指導、助言など必要な支援を行います。 就労選択支援 障がい者本人の強みや課題、必要な配慮などについて、本人と支援側がともに整理・評価(就労アセスメント)することで、本人が一般就労や障がい福祉サービスを自ら選択することや、適切なサービス等につなげるサービスです。(令和7年度から開始予定) 相談支援系サービス 計画相談支援 相談支援専門員が障害福祉サービスを利用する人に、サービス等利用計画案を作成し、定期的に利用状況や効果の確認、相談支援を行います。 地域移行支援 障害者支援施設等や病院に入所または入院している人に、地域生活へのに移行に向けた相談や住居の確保、サービス提供事業所への同行支援などを行います。 地域定着支援 施設や病院から地域生活へ移行した人や家族との同居から一人暮らしへ移行した人に、常時の連絡体制を確保し、障がいの特性によって生じた緊急事態に訪問や対応を行います。 (2)地域生活支援事業の概要 必須事業 理解促進研修・啓発事業 障がいのある人が日常生活及び社会生活を営む上で生じる「社会的障壁」を除去するため、障がいがある人の理解を深めるため研修・啓発を通じて地域住民への働きかけを強化することにより、共生社会の実現を図ります。 自発的活動支援事業 障がいがある人やその家族、地域住民等が自発的に行う活動に対する支援をする事業で、ピアサポート(互いの悩みを共有することや情報交換のできる交流会活動を支援)、災害対策(障がいがある人を含めた地域における災害対策活動を支援)、孤立防止活動支援(見守り活動を支援)、社会活動支援(障がいがある人に対する社会復帰活動を支援)、ボランティア活動支援(障がいがある人に対するボランティアの養成や活動を支援)などがあります。 基幹相談支援センター等機能強化事業 相談支援事業の業務委託において、一般的な相談支援事業の実施に加え、特に必要と認められる資格や能力を有する専門的職員を配置し、相談支援機能の強化を図ります。 住宅入居等支援事業 賃貸契約による一般住宅への入居を希望しているが、保証人がいない等の理由によって入居が困難な障がいのある人のために、不動産業者への斡旋依頼、家主に対する相談・助言、保証人の調整等を行います。 基幹相談支援センター 地域における相談支援の中核的な役割を担う機関として、障害の種別や各種ニーズに対応できる総合的な相談支援や専門的な相談支援、地域の相談支援体制の強化の取組、地域移行・地域定着の促進の取組等の業務を総合的に行うものです。 障害者相談支援事業 障がいのある人や介護者等からの相談に応じ、必要な情報の提供、助言、障がい福祉サービスの利用支援などを行うとともに、虐待の防止及びその早期発見のための関係機関との連絡調整その他の障害者などの権利擁護のために必要な援助を行います。 地域自立支援協議会 地域自立支援協議会では、関係者の連携及び支援体制に関する協議と利用に関する総合調整を図ることを目的に就労支援、子ども支援、地域づくり、サービス構築の4つの部会を中心に活動を行います。 成年後見制度利用支援事業 成年後見制度の利用が有効と認められる知的障がいのある人又は精神障がいのある人に対し、成年後見制度の申し立てに要する経費及び後見人の報酬の全部又は一部を助成します。 成年後見制度法人後見支援事業 成年後見制度における後見などの業務は弁護士のほか、社会福祉法人(法人後見)や市民(市民後見)が後見人として障がいがある人の権利を守ることができます。この事業は、法人後見や市民後見を実施するための研修事業などを実施します。 意思疎通支援事業 聴覚、言語機能、音声機能、視覚その他の障がいのため、意思疎通を図ることに支障がある障がいのある人に、手話通訳者、要約筆記者等の派遣を行い意思疎通の円滑化を図ります。 日常生活用具給付等事業 日常生活上の困難を改善するために、日常生活用具を給付します。日常生活用具には、介護・訓練支援用具、自立生活支援用具、在宅療養等支援用具、情報・意思疎通支援用具、排泄管理支援用具(ストマ用装具等)、居宅生活動作補助用具があります。 手話奉仕員養成研修事業 コミュニケーション支援の必要な人の生活支援や社会参加を促進するために手話奉仕員を養成します。 移動支援事業 屋外での移動に著しい制限のある障がいのある人に対し、ヘルパーが外出時の支援を行います。 地域活動支援センター 障がいのある人の地域生活を支援するため、センターで創作的活動、生産活動、社会との交流促進活動を行います。地域活動支援センターには、T型、U型、V型があります。 任意事業 訪問入浴サービス事業 移動入浴車が障がいのある人の家に出向いて、入浴サービスを行います。 生活訓練事業 重症心身障がい児(者)のための生活訓練と音楽療法を行います。 日中一時支援事業(日帰り短期入所) 家族に用事があるときなどに、日帰りで施設を利用することができます。 日中一時支援事業(タイムケア) 障がいのある児童や生徒の、放課後の活動を支援します。 スポーツ・レクリエーション教室開催事業 障がいのある人、市民、ボランティア等が交流し、ふれあいを深め、お互いを理解しあうことを目的とした「ふれあい福祉まつり」の開催経費の一部を負担します。 点字・声の広報等発行事業 市広報を抜粋し、点訳または録音CD・テープを作成して、希望者に配布します。 点訳奉仕員養成研修事業 コミュニケーション支援の必要な人の生活支援や社会参加を促進するために、点訳奉仕員を養成します。 自動車運転免許取得・改造助成事業 自動車運転免許の取得及び自動車の改造に要する費用の一部を助成します。 視覚障がい者福祉事業 視覚障がいのある人の社会参加を促進するため、釜石視覚障害者福祉協会が行う研修事業に要する費用の一部を助成します。 (3)障がい児通所支援の概要 児童発達支援 身体、知的、精神障がい(発達障がいを含む)のある児童に、日常生活における基本的な動作の指導、知識技術の習得、集団生活への適応訓練などの支援を行います。 医療型児童発達支援 児童発達支援と治療を行います。 居宅訪問型児童発達支援 重度の障がいなどにより外出が著しく困難な児童の自宅を訪問し、児童発達支援を行います。 保育所等訪問支援 保育所などを利用する障がい児や今後利用予定の障がい児に、訪問による保育所などでの集団生活への適応のための専門的支援を行い、保育所などの安定した利用を促進します。 放課後等デイサービス 学校通学中の児童の放課後や長期休みに、生活能力の向上のための訓練や社会との交流の促進、学校との連携・協働による支援を行います。 障害児相談支援 相談支援専門員が障害児通所支援を利用する児童に、サービス等利用計画案を作成し、定期的に利用状況や効果の確認(モニタリング)、相談支援を行います。 医療的ケア児に対する支援を調整するコーディネーター 人工呼吸器等を使用するなど、日常生活を営むうえで医療を要する状態にある障がい児が、地域で安心して暮らすため、他分野にまたがる支援の利用を調整し、総合的かつ包括的な支援の提供につなげます。 7 計画の対象者 この計画の対象となる「障がい者」は、次のとおりです。 身体障がい者(身体障害者手帳所持者) 知的障がい者(療育手帳所持者、児童相談所等で知的障がいと判定された方) 精神障がい者(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定される方) 難病患者等(「難病の患者に対する医療等に関する法律」及び「児童福祉法の一部を改正する法律」により対象となる369疾患に罹患している方) 障がい児(児童福祉法第4条第2項に規定される児童) 第2章  釜石市の現状 1 障害者手帳所持者数 本市の人口は、平成29年度末の34,420人が令和4年度末には30,288人となり、5年間で4,132人の減少となっています。 総人口に対する障害者手帳所持者の比率をみると、平成29年度の6.62%と比較して令和4年度は6.56%であり、割合にそれほど変化はなく、障害者手帳所持者数の減少は、人口減少に比例しているものと考えられます。  2 身体障害者手帳所持者数 身体障害者手帳所持者数は、障がい区分で「肢体不自由」の占める割合が大きく、令和4年度末で全体の約半数の47.3%となっています。次いで、内部障がい、聴覚・平衡機能障がい、視覚障がい、音声・言語・そしゃく機能障がいの順となります。等級別では、重度(1級・2級)が過半数を占めています。 3 療育手帳所持者数 療育手帳所持者数は、総人口の約1%で、平成29年度末の382人が令和4年度末には341人となり、41人の減少となっています。 等級別人数の推移をみると、中軽度が増加しており、所持者の比率をみると、平成29年度の64.9%に対し、令和4年度が66.8%で、1.9%増加しています。 4 精神障害者保健福祉手帳所持者数 精神障害者保健福祉手帳所持者数も、総人口の約1%となっています。 等級別人数は、令和4年度では、2級が66.9%で最も多く、次いで、1級、3級となっており、中度者が過半数を占めています。中度者が多いという傾向は、各年度とも同様となっています。 5 障がい福祉サービスの提供状況 (1)指定障がい福祉サービス等の状況 @訪問系サービスの状況 訪問系サービスは居宅介護、同行援護の利用実績があります。利用者数は、目標値に近い実績であったものの、利用時間数は、目標値を大きく下回っています。 A施設系サービス 施設入所支援は、減少として見込んでいましたが、実際には1.03倍で増加しています。 B日中活動系サービス 療養介護 療養介護は、ほぼ横ばいで推移すると見込みましたが、増加傾向にあります。 短期入所 第6期計画では短期入所の利用は増加すると見込みましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で利用者数及び利用日数ともに目標値を大きく下回る実績となりましたが、数値は増加傾向にあります。 生活介護 目標に対し、利用者数及び利用日数ともに下回りましたが、利用者数は増加傾向にあります。 C居住支援系サービス 共同生活援助(グループホーム) 利用実績は釜石圏域での利用者と他圏域での利用者を合わせた数値となります。 共同生活援助については、他圏域での利用者が増加しており、計画を上回る実績となっています。 自立生活援助 計画期間中の利用実績はありませんでした。適切な利用促進のため、課題等を精査します。 D訓練・就労系サービス 自立訓練(機能訓練・生活訓練) 機能訓練については、利用を見込んでいませんでしたが、利用実績がありました。生活訓練については、利用日数及び利用者数は目標値より大きく下回りました。 自立訓練(生活訓練)※宿泊型自立訓練を含む 就労移行支援 ひと月当たりの利用者数はほぼ目標値通りですが、ひと月当たりの利用日数は目標値を下回っています。引き続き、就労移行支援サービスの周知や一般就労希望者のニーズの掘り起こしやマッチングを進めます。 就労継続支援(A型・B型) 釜石圏域のA型サービス提供事業所が令和5年9月に廃止されたことから、A型は利用者数、利用日数ともに目標値を下回っています。B型については、ほぼ目標値に近い実績値で推移しています。 就労定着支援 一般就労したすべての方が利用するとは限らないため、利用がありませんでした。 E相談支援系サービス 計画相談支援 ゆるやかに増加すると見込んでいましたが、目標値を下回る利用者数となりました。 地域移行支援 利用実績はありませんでした。 地域定着支援 利用実績はありませんでした。 F障がい児通所支援等サービスの状況 児童発達支援 緩やかに増加すると見込みました。令和4年度まではコロナ禍の影響もあり、実績は目標値を下回りましたが、令和5年度は回復傾向にあります。 居宅型児童発達支援 令和5年度までの提供を目標としていましたが、実現に至りませんでした。 保育所等訪問支援 令和4年度に提供を開始し、利用者数、利用日数ともに目標値を上回っています。 放課後等デイサービス 特別支援学校に通学している児童や特別支援学級へ在席している児童の放課後や長期休暇中の活動の場として利用者が増加していくと見込んでいました。利用者数、利用日数ともに増加しています。 障害児相談支援 新たに障害児相談支援を行う相談支援事業所が1カ所増えましたが、利用者数は目標値を下回っています。 医療的ケア児に対する支援を調整するコーディネーター 医療的ケア児に対する支援を調整するコーディネーターについては、令和3年度に大槌町と共同で設置し、保護者と多分野にまたがる支援の利用調整など、事業所や関係機関などと連携し、岩手県のコーディネーターの助言を受けながら、包括的な支援にあたっています。 (2)地域生活支援事業の状況 @理解促進研修・啓発事業 【必須事業】 市内小学生を対象に障がい者就労施設見学等の実施を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、交流活動は自粛せざるを得ませんでした。 障がい理解の促進については、第3次障がい者福祉計画の表紙及び挿絵を当市の障がい者に作製いただき、啓発に努めました。 また、障がいのある人が地域で不安なくいきいきと暮らすことができるよう、ヘルプカードの普及と理解促進の啓発活動に取り組みました。 A自発的活動支援事業 【必須事業】 手話に対する理解促進の機会を提供するため、聴覚障がいの家族を持つ聴者の生活を描いた映画の上映会と、手話コンサートを開催する事業に対し助成を行いました。 B相談支援事業 【必須事業】 「基幹相談支援センター」は、令和5年度までの設置を目標としたものの、設置には至りませんでした。 「障害者相談支援事業」「地域自立支援協議会」は、ともに計画通りに実施しています。 C成年後見制度利用支援事業 【必須事業】 成年後見制度利用支援事業については、令和3年度に2件、令和4年度に1件、令和5年度に1件の市長申立を行いました。また、令和5年度に1件の報酬費用の助成を行いました。 D成年後見制度法人後見支援事業 【必須事業】 成年後見制度法人後見支援事業については、令和2年度に釜石・遠野地域成年後見センターにおいて市民後見人養成講座を開催し、9人が受講、8人が市民後見人候補者名簿に登録しています。これまでに、延べ4件を市民後見人が受任しており、フォローアップ研修の実施によりスキルアップに努めています。 現在、法人後見制度の構築について検討を重ねています。 E意思疎通支援事業 【必須事業】 意思疎通支援事業の利用実績はありませんでした。意思疎通を図ることに支障がある障がいのある人に、制度の周知を図っていく必要があります。 F日常生活用具給付等事業 【必須事業】 利用状況は「排泄管理支援用具」 が日常生活用具給付等事業の中で突出して利用の多い事業となっていますが、目標値を大きく下回って推移しています。 G手話奉仕員養成研修事業 【必須事業】 手話奉仕員養成研修は入門課程と基礎課程があり、合わせて2年間の受講が必要になります。釜石市身体障害者福祉センターで実施していますが、受講者数は目標を若干ですが上回っています。 H移動支援事業 【必須事業】 移動支援事業については、視覚に障がいのある方の外出支援を行っています。利用者数、時間ともに計画を下回っています。 I地域活動支援センター 【必須事業】 地域活動支援センター事業の実施状況をみると、地域活動支援センターT型、U型ともに、利用者数はほぼ横ばいで推移しています。 V型は利用実績がありませんでした。       J任意事業 おおむね計画に則した実施状況となっていますが、日中一時支援(タイムケア)は、目標を大きく下回っています。 スポーツ・レクリエーション教室開催事業では、釜石市社会福祉協議会が主催し「ふれあい福祉まつり」を開催しており、障がい福祉サービス事業所による合同販売会、作品展示、ボランティア活動の紹介やパネル展示、ダンスなどのステージ発表が行われ、障がい理解の普及を図りました。 視覚障がい者福祉事業では、スポーツ教室とIT講習会を実施し、視覚障がい者の健康増進、社会参加の促進を図りました。 6 アンケート調査結果からみる現状 @調査の概要 調査の目的 この調査は、第7期釜石市障がい福祉計画・第3期釜石市障がい児福祉計画を策定するにあたり、障がいのある人の生活状況などを把握し、計画策定の基礎資料とすることを目的に実施しました。 調査対象等 ・調査対象…市内に居住している65歳未満の身体障がい者、知的障がい者及び精神障がい者、現在障がい福祉サービスを利用している障害者手帳のない方(精神通院・障がい児通所支援利用者) ・対象者数…769人 ・調査期間…令和5年10月25日(水)〜令和5年11月17日(金) ・調査方法…郵送による配布・回収及びウェブアンケート 回収結果  376人(48.9%)うち、ウェブ回収 58人(7.5%) A障がいのある人の生活について ア 今後どのように暮らしたいか 障がいのある人が誰と一緒に生活しているかを見ると、「父母・兄弟姉妹・祖父母」「配偶者」「一人暮らし」の順となっています。回答者の9割以上は家族と暮らしていますが、一人暮らしをしている方も1割を超えています。 今後どのように暮らしたいかについては、「家族と一緒に生活」が圧倒的に多く、次いで「一人暮らし」の割合が高くなっています。また、「福祉施設」や「グループホーム」を希望する方もおり、家族や地域とのつながりの中で、さまざまなサービスやコミュニティの力を活用しながら暮らすことができるよう、生活環境や障がい福祉サービスを整備していくことが重要となります。 イ 地域で生活するために必要な支援 地域で生活するために必要な支援は、「経済的な負担の軽減」が最も多く、次いで「相談支援体制の充実」、「障がいに対する地域住民の理解」となっています。そのほか、「交通機関の充実」「余暇や楽しみの活動」など地域生活の充実を求める声が多くなっています。そのほか、「外出時のサポート」「必要なサービスが適切に利用できること」「宿泊ができる場所の支援」などの割合が高くなっており、傾向としては第6期計画策定時とほぼ変化がありません。 こうした支援を適切に提供するために、障がいのある人が相談できる場が身近にあることが必要です。障がいのある人の希望や特性に応じた支援を行うため、医療、健康、福祉、就労に関する相談支援体制の充実と相談窓口の連携、地域での生活を支援する体制の構築が必要となります。 ウ 外出の内容・頻度 1週間の外出頻度については、毎日外出する人が半数以上あり、9割以上の人が1週間に1回以上の外出をしていることが分かります。外出時の支援者の有無は、約半数が「一人で外出する」と回答し、次いで「父母・祖父母・兄弟」、「配偶者」となっています。一人または家族との外出に比べ、ホームヘルパーなどのサービスを利用して外出する人の割合はごくわずかです。 外出する時に困ることは、「公共交通機関が少ない・ない」と「交通費がかかる」が多く、「困った時に周りの人に頼みにくい」「周囲からの視線が気になる」と続きます。障がいのある人が、地域の中で生活していく上で外出(移動)にとても困難を感じる障壁をつくっている要因を一つ一つ取り除き、 障がいのある人が安心して生活することができるよう、生活環境を整えていく必要があります。 エ 仕事について 平日の日中をどのように過ごしているかの問いに、「会社勤めや自営業」と答えた人の割合が高くなっています。また、どのような勤務形態で働いているかの問いは、「臨時職員、パート、アルバイト」と答えた方が最も多く、次いで「正社員でほかの職員と同じ勤務条件」となっています。 今後、どのような働き方をしたいかの問いには、約1割の人が正社員での勤務を希望しています。職業訓練については、24.7%が「職業訓練を受けたい」と答えています。 障がいがある人の就労支援に必要なことの項目では、「職場の上司・同僚の障がいへの理解」が最も多く、次いで「家族の理解、協力」「短時間勤務や勤務日数の配慮」「通勤手段の確保」「労働に見合った工賃」となっています。 障がいがある人が一般就労するためには障がいの特性等を企業側に理解していただくことが重要となります。働きたいと希望しながらも、その手立てが見つからずに悩んでいる人のために、自立支援協議会就労支援部会、ハローワーク釜石及び釜石大槌地域障がい者就業・生活支援センター「キックオフ」等と連携を図りながら障がいに対する企業の理解促進などに一層取り組む必要があります。 オ 相談支援について 普段、悩みや困りごとを相談する相手としては、「家族、親せき」が突出して多く、次いで「かかりつけの医師、看護師」「友人、知人」となっています。障がいのことや福祉サービスについての情報は、「市役所の窓口や広報」「家族、親せき、友人、知人」「本や新聞、雑誌の記事、テレビやラジオのニュース」から得るという回答が多いですが、「インターネット」という回答も多く見られ、身近な人に相談したり、情報を得たりしていることがわかります。 「相談支援事業所の相談員」「ホームヘルパーや障害者支援施設の職員」「かかりつけの医師や看護師、薬剤師」という回答も多く、相談支援事業の充実が図られていることがわかります。 カ 権利擁護について 差別的な経験の有無は、回答者の半数を超える人が差別的な経験をしたことがあると回答しています。差別を受けたと感じている場所については「学校や職場」が最も多く、次いで「外出先」「仕事を探すとき」と続きます。障がいのある方が、地域で安心して生活する上で、障がいに対する理解は最も重要であり、障がいへの理解が進むよう理解促進・啓発のさらなる取り組みが必要です。 また、成年後見制度については、内容を知っていると答えた方は、22.9%となっており、第6期計画の策定時に比べ、倍以上の結果となっており、成年後見制度が徐々に浸透してきていることが伺えます。 将来、判断能力が低下した場合の身の回りの世話や財産管理については、「家族、親せき」に頼みたいという回答が突出して多い結果となっていますが、知的障がい者や精神障がい者の親亡き後の権利を守っていくため、令和元年度に設置した釜石・遠野地域成年後見センターにより、制度のさらなる周知が必要です。 キ 地域防災について 火事や地震などの災害が起こった際に、71.3%の方が緊急避難場所を「知っている」と答えていますが、「一人で避難できる」と回答した人は51.3%で、ほぼ同じ割合で「できない」「わからない」と回答しています。 また、災害時に困ることについては、「投薬や治療が受けられない」と回答した人が最も多く、次いで「避難所の設備(トイレなど)や生活環境への不安」「周りの人とコミュニケーションがとれない」「安全なところまで素早く避難できない」「被害状況や避難場所などの情報を入手できないこと」となっています。 東日本大震災での教訓を忘れず、地域コミュニティの力を活用しながら、その人の生活環境や障がいの特性に応じた対策を構築していく必要があります。現在、市では、避難行動要支援者の個別避難計画の作成に取り組んでおり、災害時に地域において障がいのある人の支援のキーパーソンとなる町内会や、地域の民生児童委員などと連携した取り組みが必要です。 第3章  第7期計画の目標値の設定 1 福祉施設の入所者の地域生活への移行 第6期計画の実績 第6期障がい福祉計画の数値目標達成状況をみると、福祉施設の入所者の「地域生活移行者数」は、令和4年度末目標7人に対し、実績は4人であり、達成率は57.1%となっています。 なお、国の基本指針では、令和5年度末までに令和元年度末の施設入所者数を6%以上削減することとされていますが、当市では施設入所待機者の解消が必要であったことから、施設入所者の削減目標値は設定していません。 第7期計画の数値目標 地域生活移行者数の目標値については国の指針に基づき、令和4年度末の施設入所者数の6%以上が地域移行を実現できるよう、目標値を6人として設定しています。 施設入所者数の削減については、今なお施設入所待機者(身体障がい5人)がいることから、第7期計画においても目標値を設定しません。 2 精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築 第6期計画の実績   第6期計画において、釜石大槌地域障がい者自立支援協議会に設置を目標としていた保健、医療、福祉関係者による協議の場については、必要に応じて、地域づくり部会での協議を行いました。 第7期計画における目標 精神障がいのある人が地域で安心して暮らせるよう、保健、医療及び福祉と地域が連携した支援体制の構築を目指し、サービス利用者や家族のニーズ把握とサービスの提供に努めます。 3 地域生活支援の充実 第6期計画の実績 釜石大槌地域障がい者自立支援協議会において整備に係る協議を進め、拠点の全体的な調整を行うコーディネーターを大槌町と共同で設置するとともに、緊急時の受入れを行う釜石市安心生活支援事業実施要綱を定め、面的整備型で地域生活支援拠点等を整備しました。 第7期計画における目標 地域生活支援拠点等の機能の充実のため、釜石大槌地域障がい者自立支援協議会において運用状況を検証、検討します。また、強度行動障がい者及び高次機能障がい者の状況や支援ニーズの把握と支援体制の整備について検討を進めます。 4 福祉施設から一般就労への移行等  第6期計画の実績 第6期障がい福祉計画の数値目標達成状況をみると、目標の3人に対し、実績は1人と、達成には至りませんでした。 第7期計画の数値目標 釜石大槌地域障がい者自立支援協議会では、ハローワーク釜石、障がい者就労事業所、釜石大槌地域障がい者就業・生活支援センターキックオフ等の職員で構成される就労支援部会を毎月開催し、障がいのある人が一般企業で働くことができるよう協議を行っています。この就労支援部会での協議を重ね、情報共有を図り、支援体制を強化していきます。数値目標の設定にあたっては、現に利用している者の数、障がい者等のニーズ、施設入所者の地域生活への移行者数等を勘案し、利用者数を設定します。 当市では、かまいしワークステーション、まごころ就労支援センター釜石の2事業所が就労移行支援を実施しています。近隣自治体の企業とのつながりを活かし、日頃の相談支援から新規利用者の開拓に努め利用者の増加を促進していきます。 5 障がい児支援の提供体制の整備等(第3期障がい児福祉計画) 第2期障がい児福祉計画の実績 第2期障がい児福祉計画では、障がい福祉サービス提供体制の整備と協議の場として、釜石大槌地域自立支援協議会子ども支援部会を「関係機関の協議の場」と位置づけ、定期的に協議を行っています。 また、令和3年度から医療的ケア児コーディネーターを圏域に配置し、切れ目なく必要なサービスを総合的に調整し、医療的ケア児及びその家族に寄り添ったワンストップの相談支援を行っています。 令和4年度から、保育所等訪問支援事業の取り組みが始まり、障がい児の地域社会への参加・包容(インクルージョン)の推進につながっています。 第3期計画における目標 障がいを抱える障がい児やその家族に対して、保育・保健医療・教育・福祉等の関係機関が連携し、一貫した効果的な支援を身近な場所で提供する体制を構築し、質の高い専門的な発達支援など、支援の質の向上や支援内容の適正化に取り組んでいきます。 児童発達支援センターの整備について検討を進めるとともに、障がい児の地域社会への参加・包容(インクルージョン)を推進するため、関係機関の連携による支援内容の共有や環境整備等に努めます。 6 相談支援体制の充実・強化等 第6期計画の実績 釜石圏域においては、基幹相談支援センターが設置されていないため、総合的・専門的な相談支援については、他圏域の基幹相談支援センター職員を招へいする等により実施することとしておりましたが、実績はありませんでした。 自立支援協議会地域づくり部会の場において、相談支援専門員の情報交換等による連携強化を図っていますが、強度行動障がい等の専門的な支援スキルを有する講師を招へいしての指導・助言についても、実績はありませんでした。 第7期計画における目標 総合的な相談支援、地域の相談支援体制の強化及び関係機関等の連携の緊密化を通じた地域づくりの役割を担う基幹相談支援センターを圏域に設置し、人材育成を行うとともに、相談支援体制を充実・強化します。 毎月開催する自立支援協議会地域づくり部会の場において相談支援専門員の情報交換等による連携強化を図る他、個別事例の検討を通じた地域サービス基盤の開発・改善を行います。 7 障がい福祉サービス等の質を向上させるための取組に係る体制の構築 第6期計画の実績 障害者総合支援法の具体的内容の理解促進を図る観点から、国や県が実施する初任者向け研修や権利擁護・虐待防止に関する研修会に積極的に参加しました。 しかし、障害者自立支援審査支払等システムによる審査結果の活用については、共有すべき事例がなかったことから、実施していません。 第7期計画における目標 障害者総合支援法の具体的内容の理解促進を図る観点から、国や県が実施する初任者向け研修や権利擁護・虐待防止に関する研修会等に積極的に参加します。 第4章  サービスごとの見込み量 本章では、障がい福祉サービスの提供状況と令和8年度までの見込量及び方策について記載します。 障がい福祉サービスは、個々の障がい者の障がい程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、住居等の状況)を踏まえ、個別に支給決定が行われる「自立支援給付」と、市町村の創意工夫により、利用者の方々の状況に応じて柔軟に実施できる「地域生活支援事業」および障がい児に関するサービスとして児童福祉法において実施されている障がい児通所支援の3つに大別し記載していきます。 「自立支援給付」については、各サービスを「訪問系サービス」「日中活動系サービス」「居住系サービス」「地域相談・計画相談支援」に分類して記載します。 1 自立支援給付(介護給付・訓練等給付・相談支援)の見込みと方策 (1) 訪問系サービス 当市では、訪問系サービスの中では居宅介護、同行援護が利用されていますが、精神障がい者等の地域移行が促進されることで、行動援護のニーズが増加することが予想されることから、ゆるやかな増加を見込んでいます。 市は、福祉人材確保型奨学金返還補助制度を創設しており、利用者のニーズに見合ったサービスが提供できるよう、人材確保に努めます。 同行援護サービスは、視覚障がい者が地域で安心して生活するために欠かせないサービスであり、安定的なサービスの提供に努めます。 (2)日中活動系サービス @ 生活介護 生活介護は、令和5年度に141人が利用しています。アンケート調査での利用意向も多く、また特別支援学校卒業予定者の利用も考えられます。令和6年4月に、新たな生活介護事業所が開設されることから、年間20人程度の増加を見込んでいます。 A 自立訓練(機能訓練・生活訓練) 自立訓練(生活訓練) ※宿泊型自立訓練を含む 機能訓練については、地域活動支援センターU型で機能訓練のサービスを提供している事業所が、令和6年度中に機能訓練に移行する予定であることから、利用者が大幅に増加すると見込んでいます。 生活訓練は、釜石圏域のサービス提供事業者が、令和5年度をもって廃止の予定であることから、利用者が減少すると見込まれます。しかし、地域生活に移行するための重要なステップであることから障がいの特性に応じた適正な支給決定に努めるとともに、新たなサービス提供事業所の参入を検討します。 B 就労選択支援 就労選択支援については、障がい者等のニーズ、特別支援学校卒業者数、就労移行支援、就労継続支援の現利用者数を勘案して、令和7年度以降に年間1人の利用を見込んでいます。 C 就労移行支援 就労移行支援については、現在2事業所が就労移行支援サービスを提供しており、現状のまま推移すると見込んでいます。 D 就労継続支援 A型については、サービスを提供できる事業所が、釜石圏域にはなくなってしまったため、利用者数・利用日数共に大幅に減少すると見込んでいます。 B型については、アンケート調査での利用意向および実績等から、利用量の増加が見込まれます。サービス提供事業所、ハローワーク釜石、釜石大槌地域障がい者就業・生活支援センターキックオフなどと連携し、企業情報の収集、訪問活動などを通じて授産業務の拡充に努め、利用者のさらなる増加を図ります。 釜石圏域には、サービス提供事業所が6カ所あり、現在の提供基盤で対応可能と見込んでいます。 E 就労定着支援 就労定着支援については、一般就労したすべての方が利用するとは限らないため、個別のケースにあわせた適切な支給決定に努めます。 F 療養介護 療養介護については、現状のまま推移すると見込んでいます。 G 短期入所 短期入所については、現在のサービス提供事業所の提供基盤から、現状並みに推移すると見込んでいます。有事の際に不安なく地域生活を送れるよう適切な支給決定に努めます。 当面は、釜石圏域以外の事業所も活用しながら見込量の確保を図りますが、釜石圏域でのサービス量確保に向けた空きベッドの確保策や定員拡大の可能性について釜石大槌地域障がい者自立支援協議会で検討を進め、サービス提供基盤の確保に努めます。 (3) 居住系サービス @ 共同生活援助 共同生活援助は、施設や精神科病院からの地域移行、特別支援学校卒業生の地域生活の実現のため、地域に必要なサービスとなっています。しかし釜石圏域では、共同生活援助の提供基盤が不足しており、サービス提供事業所の新規の立ち上げや増設が必要です。 当面は釜石圏域以外での共同生活援助事業所も活用しながら見込量の確保を図りますが、釜石大槌地域障がい者自立支援協議会で新設や増設について検討を進め、釜石圏域におけるサービスの提供基盤の確保に努めます。  A 自立生活援助 自立生活援助については、一人暮らしに移行する際に、不安解消など十分なサポートが行えるよう、個別のケースにあわせた適切な支給決定に努めます。 B 施設入所支援  施設入所支援については、ゆるやかな減少を見込んでいます。見込量の確保については、施設入所者の地域生活移行と施設入所を平行して進めるため、現在のサービス提供事業所の提供基盤で対応可能と見込んでいます。 (4) 地域相談支援・計画相談支援 @ 計画相談支援 計画相談支援については、令和5年度の実績及び各種サービスの提供見込みの状況から緩やかに増加すると見込んでいます。現在、圏域では相談支援専門員が不足している状況であることから、相談支援事業所やサービス提供事業所と連携し、サービス等利用計画作成に必要な体制を確保します。 A 地域移行支援 地域移行支援については、施設入所支援利用者や精神科病院からの地域移行者数を基に算定していますが、地域移行者すべてが利用するとは限らないため個別のケースに合わせた適切な支給決定に努めます。また、基幹相談支援センター、相談支援事業所やサービス提供事業所と連携し、障がいのある人の地域移行支援に必要な体制を確保します。 B 地域定着支援 地域定着支援については、令和5年度時点で利用実績がありませんでした。地域移行者の個別のケースに合わせ、適切な支給決定に努めます。また、相談支援事業所やサービス提供事業所と連携し、障がいのある人の地域定着支援に必要な体制を確保します。 2 地域生活支援事業における見込みと方策  地域生活支援事業の体系 必須事業 理解促進研修・啓発事業 自発的活動支援事業 相談支援事業 成年後見制度利用支援事業 成年後見制度法人後見支援事業 意思疎通支援事業 日常生活用具給付等事業 手話奉仕員養成研修事業 移動支援事業 地域活動支援センター機能強化事業 任意事業 訪問入浴サービス事業 更生訓練費給付事業 生活訓練事業 日中一時支援事業 日帰り短期入所 タイムケア 社会参加支援事業 スポーツ・レクリエーション開催事業 点字・声の広報等発行事業 点訳奉仕員養成研修事業 自動車運転免許取得・改造助成事業 視覚障がい者福祉事業 必須事業 @ 理解促進研修・啓発事業                児童生徒を対象とした障がい者就労施設の見学や体験などを実施します。 また、障がいのある人が地域で不安なくいきいきと暮らすことができるよう、ヘルプカードの普及を進めます さらに、広報かまいしに定期的にふくしトピックを掲載し、障がい者理解促進の啓発活動に取り組みます。 A 自発的活動支援          当事者団体等と協議し、障がいがある人やその家族、地域住民等が行う自発的な活動を支援します。 B 相談支援事業                              相談支援事業については、引き続きサービス提供事業所と連携し、必要な相談支援を実施します。また、障がいのある人が身近な地域で相談が行えるよう、体制づくりを進めます。 C 成年後見制度利用支援事業 令和元年度に設置した釜石・遠野地域成年後見センターを活用し、知的障がい者や精神障がい者の親亡き後の権利を守っていくため、制度の周知を図っていきます。 D 成年後見制度法人後見支援事業 釜石・遠野地域成年後見センターと連携し、市民後見人養成講座を継続して開催し、市民後見人の育成を進めるとともに、法人後見についても第7期計画期間中の実施に向けて取り組みます。 E 意思疎通支援事業 意思疎通支援事業については、関係機関、団体等と連携し、資格者等の育成に努めながら必要なサービス量を確保するとともに、対象となる意思疎通を図ることに支障がある障がいのある方への制度の周知を図ります。 F 日常生活用具給付等事業 G 手話奉仕員養成研修事業 手話奉仕員養成研修は入門課程と基礎課程があり、2ヶ年度で実施します。事業の周知を図り研修受講者の増加に努めます。 H 移動支援事業                                 移動支援事業については、障がいのある人の社会参加を支援するサービスであることから、サービス提供事業所と連携し、見込量の確保に努めます。 I 地域活動支援センター事業                                 釜石圏域の地域活動支援センターT型事業所が、令和5年度をもって廃止されることから、T型の利用は見込んでいません。 地域活動支援センターについては、障がいのある人の地域での日中活動を支援するサービスであることから、サービス提供事業所と連携し、見込量の確保に努めます。  任意事業 任意事業の見込量確保の方策 任意事業については、各事業の支給決定量とサービス利用量の状況を把握し、障がいのある人が必要とするサービスを利用できるよう事業の充実に努めます。 日中一時支援事業(タイムケア)については、ニーズが高く、今後も利用希望の増加が見込まれることから、新規参入意向を持つ事業所があれば円滑にサービスを開始できるよう支援し、見込量の確保に努めます。 3 障がい児通所支援における見込みと方策 障がい児に対する障がい福祉サービス体系については、平成24年4月1日より障害者自立支援法による児童デイサービスから、児童福祉法による障害児通所支援(児童発達支援・放課後等デイサービス等)に移管となり、障がい児に対する福祉サービスの充実が図られています。また、同時に障害児相談支援も創設されています。 市は、令和元年度に「第2期釜石市子ども・子育て支援事業計画」(令和2年度〜令和6年度)を策定しています。この計画との整合を図り、障がいがある子どもが身近な地域で安心して生活できるよう、保健、医療、福祉、教育分野と連携していきます。 幼児教育・保育施設に通っている児童や特別支援学校に通学している児童や、特別支援学級に在籍している児童の療育の場として児童発達支援や放課後等デイサービスの利用が必要とされています。 特に放課後等デイサービスは特別支援学校に通学している児童や特別支援学級へ在籍している児童の放課後活動や長期休暇中の活動の場として、利用者のゆるやかな増加が見込まれます。 現在、放課後等デイサービス事業所は、市内に3カ所しかないため、今後の見込量を考慮すると、現在の提供基盤では不足すると考えられます。新たな事業所の参入などについて検討を重ね、利用者の居場所の確保に努めます。 障がい児相談支援については、障がい児通所支援サービス利用者全員が作成対象となりますのでゆるやかな増加を見込んでいます。相談支援専門員のさらなる増員を検討するとともに、相談支援事業所やサービス提供事業所と連携し、障がい児支援利用計画作成に必要な体制を確保します。 保育所等訪問支援については、共働き世帯の増加に伴い、親子通所型の児童発達支援の利用が困難な家庭からのニーズが増加しています。幼児教育・保育施設のみならず、小学校、学童育成クラブと子どもの所属機関での活用が広がっており、障がい児の地域社会への参加、包容(インクルージョン)の推進につながっていると思われます。 また、居宅訪問型児童発達支援については、釜石圏域にサービス提供事業所がないことから利用実績がありませんが、今後の利用ニーズを把握しつつ、市内事業所と協議検討を進め、必要な支援につなげます。 医療的ケア児に対する支援を調整するコーディネーターの配置については、令和3年度から圏域において設置済みであり、切れ目なく必要なサービスを総合的に調整し、医療的ケア児及びその家族に寄り添ったワンストップの相談支援を行っています。 第5章  計画の推進体制 1 庁内における計画の推進 この計画を推進するにあたっては、障がいのある人の就労支援や地域生活への移行支援など、福祉分野だけでなく、保健・医療をはじめ、人権、雇用、教育、住宅など多様な分野との連携が必要となります。そのため、関係各課との連携、調整を図りながら計画を推進します。 2 地域との連携 この計画を推進していくにあたっては、地域の理解と協力が必要不可欠となります。そのため、社会福祉協議会、医療機関等の関係機関、町内会、民生児童委員や地域団体、障がい者団体、サービス提供事業者、企業との連携を図ります。 3 大槌町及び岩手県との連携 この計画の推進にあたっては、サービスの調整や効果的なサービス提供基盤の整備、人材の育成、就労支援など、広域的な対応が必要となります。そのため、障がい保健福祉圏域である大槌町及び岩手県との連携を図ります。 4 地域移行へ向けた関係機関等との連携 福祉施設の入所者や精神科病院入院者のうち、受け入れ条件が整えば退院可能な精神障がい者の地域移行について、当事者の意向把握に努め必要な情報提供を行いながら障がい福祉サービスを利用した地域移行を推進するため、医療機関、サービス提供事業所、相談支援事業所と連携を図りながら進めます。 ・障がいのある人が、地域で生活するための生活の場確保に向けた支援を進めます。 ・地域で生活することについて、家族の意向を確認するとともに地域移行を進めるための情報提供を行い、不安解消の支援に努めます。 ・障がいのある人が、文化活動、スポーツ活動等に気軽に取り組むことができるよう機会の提供に努めます。 ・障がいのある人が互いに交流することができる場の提供と、家族会の活動を支援します。 5 計画達成状況の点検と評価 この計画の推進のため、障がい者のニーズや社会環境の変化等を踏まえ、サービス見込量の達成状況、地域生活への移行、一般就労への移行が進んでいるかなどについて、進捗状況の取りまとめを行うとともに、釜石大槌地域障がい者自立支援協議会から意見を聴取し、計画の取り組みを進めていきます。